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栄華の頂点から一気にどん底に落とされた…叔父・藤原道長によって人生を壊された皇后・定子の悲しい運命

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genre : エンタメ, テレビ・ラジオ, 歴史

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ちょうど太皇太后の昌子内親王が亡くなったので、その空席に彰子を就け、同じ一条天皇の后として皇后と中宮を並立させる――。それは実現された。

それでも一条天皇は定子を寵愛したが、長保2年(1000)12月、第三子の媄子を出産した定子は、その直後、わずか24歳で亡くなってしまった。一条天皇は悲しみを隠そうともしなかったというが、そんな天皇に参内を求められながら、道長は参内していない。

定子が産んだ敦康親王は、その後、彰子が養育したが、その彰子が寛弘5年(1008)、敦成親王を出産すると、道長にとって敦康親王はもはや邪魔な存在でしかなかった。結局、皇位継承権も奪われたが、天皇の第一皇子でありながら即位できないのは、きわめて異例のことだった。

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権力のために後宮を制する。道長の強い意志の前には、定子どころか一条天皇も無力だったのである。

香原 斗志(かはら・とし)
歴史評論家、音楽評論家
神奈川県出身。早稲田大学教育学部社会科地理歴史専修卒業。日本中世史、近世史が中心だが守備範囲は広い。著書に 『カラー版 東京で見つける江戸』(平凡社新書)。ヨーロッパの音楽、美術、建築にも精通し、オペラをはじめとするクラシック音楽の評論活動も行っている。関連する著書に『イタリア・オペラを疑え!』、『魅惑のオペラ歌手50 歌声のカタログ』(ともにアルテスパブリッシング)など。
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