「学歴や社会的ステータスが高い人もいる」誹謗中傷をしてきた人たちの素性

――開示請求によって、誹謗中傷をしていた人たちの素性がわかるわけですよね。

 これがまた驚きで。論文などによると、海外の反ワクチン運動は社会的弱者が担い手になることが多いとされています。でも、日本は必ずしもそうじゃない。僕が訴えた相手で、いわゆる「無敵の人」はまだひとりだけです。

――生活に困窮しているような人ばかりではない。

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 このまえ、刑事裁判で有罪判決が出た人物がいますが、彼は元大手メーカーの研究員でした。大学院を出て研究開発をしていた人です。

 他にも反ワクチンの弁護士や、医者だっている。僕を訴えてきた医者もいます。学歴や社会的ステータスが高い人も、少なからずいるんです。

誹謗中傷被害を訴える岡秀昭教授の投稿

――その元研究員は、法廷で動機をどう語ったのですか。

 「本当は反ワクチンではない。ただ、毎日のようにヤフーニュースで岡の顔を見るのが気に入らなかった」などと言っていました。

――誹謗中傷をするアカウントを覗くと、なにか傾向や共通項はありますか。

 日本の反ワクチンや、そっち寄りの人たちは、かなり政治イデオロギーと結びついていると思います。多くは、いわゆる極右的な思想。グローバル化を嫌い、マスク着用のような集団での協調行動を嫌悪する。支持政党もそういう系が多い。そして、トランプの写真を掲げていたり、ウクライナよりロシア寄りだったり。私としては、だいたいそういった印象を受けています。

増毛前の岡秀昭教授(写真=埼玉医科大学総合医療センター提供)

「娘の進学費用を貯めなければいけないので、示談金をまけてくれ」と言ってきた人も…

――なかには示談金を払い渋るような人も?

 最初のころ、「まけてくれ」と言ってきた人がいました。ひどい投稿をしてきたんですけど、「娘の進学費用を貯めなければいけないので、示談金160万円を40万円にまけてくれ」と。

 アカウントとログを消すこと、謝罪すること、謝罪文を公開することを条件に、示談金を下げることに応じました。

 

――謝ってきた人たちに会うことは。

 民事訴訟の場合は、会いませんね。でも、匿名でひどいことを書き込んでくる者が、どんな人物なのかは知りたい。匿名で言ってくるということは、面と向かって言えないことでもあるわけですよね。そこに腹が立つので素性は知りたいけど、わざわざ会おうとまでは思わないですね。