「不毛な誹謗中傷との戦いを有毛に変える」慰謝料で増毛を始めた経緯
――先生はXのプロフィールに「不毛な誹謗中傷との戦いを有毛に変える」と掲げて、訴訟を通じて支払われた慰謝料で増毛をしています。なんだって毛を植えてやろうと思ったのでしょう。
岡 彼らは僕に対して「訴訟ばかりして赤字だろう」と挑発してくるわけです。そして、中傷の3分の1以上が、僕の容姿、とくに髪の毛に関するものでした。「ハゲ」とかですね。
――僕も見まごうことなきハゲで、人に言われても気にもしていないのですが、悪意をもって指摘されると腹が立ちます。
岡 そうでしょう? 1回や2回ならまだしも、大勢に、しかも医学的な議論と全く関係ない文脈で「ハゲ」と言われ続けると、さすがに腹が立つ。だったら、「最高の嫌がらせをしてやろう」と。
――嫌がらせ。
岡 訴えている相手とのX上でのやりとりで、「そんなに訴訟を起して赤字なんじゃないか?」みたいなことを言われたので「おまえから取った慰謝料で増毛してやる」と言い返したんです。
――それを本当にやってのけた。
岡 相手は、まさか本当に増毛するとは思っていなかったでしょうね。これは勝利のたびにタトゥーを刻むような感覚です。勝訴や示談が成立するたびに、そのお金で髪を増やしていく。不毛な戦いに、物理的に「毛」という果実をもたらしてやろうと。
――慰謝料や示談金だけで増毛を?
岡 いまのところ、費用はそれでまかなえています。
――これまでにかかった増毛代は。
岡 僕がやった増毛は植毛ではなくて、残っている自分の毛に人工毛を結びつけるタイプのもので、技術料と人工毛の購入費がかかります。最初にまとまった本数の人工毛を契約して、それを数回に分けて施術する。これまで2回契約して、合計で150万円くらいですかね。
「普通に髪も洗えますし。ドライヤーを使う生活になりました」増毛後の変化
――増毛してみて、見た目以外の変化にはどんなものが。
岡 とりあえず、僕自身は快適ですね。普通に髪も洗えますし。何十年かぶりにドライヤーを使う生活になりましたけどね(笑)。周囲は気を使ってなにも言ってきませんけど、それが嫌だからこそ、自分から公表しているんです。入れ歯やインプラントと同じで、個人の自由ですからね。


