鈴木健二、曙太郎、天児牛大、寺田農、O・J・シンプソン

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偉大な業績を残し、世を去った5名の人生を振り返る追悼コラム

★鈴木健二

鈴木健二 ©時事通信社

 元NHKアナウンサー鈴木健二(すずきけんじ)は、司会者として次々と新番組を成功させ、著作でもベストセラーを連発した。

 1984(昭和59)年の紅白歌合戦では、引退が予定されていた都はるみが『夫婦坂』を歌って大トリを務めた。ところが白組司会の鈴木が「私に1分間時間をください」と視聴者に呼びかけ、もう1曲『好きになった人』を歌ってもらう前代未聞の展開となる。この時は大いに盛り上がったが、鈴木の「暴走司会」を批判する声もあった。

 29年、東京の本所に生まれる。家業は自転車部品の製造販売で、6歳上の兄は映画監督となる鈴木清順。子供の頃から思った事をすぐ口にし、旧制中学では教育勅語の「一旦緩急アレバ」は「アラバ」ではないかと教師に質問し、「この非国民」と分厚い名簿で頭を叩かれたという。

 数学がどうしても苦手で、旧制弘前高校(現・弘前大)では文科系を選んだ。在学中は寮の食糧を調達、米国人牧師に頼まれ戦争孤児68人の世話をしている。東北大学では美学美術史を専攻し「バレエ史および舞踏理論」で卒論を書く。大学院に進むつもりでいたが、友人がNHKを受けるというので一緒に受けてみたところ合格した。

 66年からの生活情報番組『こんにちは奥さん』の司会が好評で、78年に始まった『歴史への招待』では些細な事実やモノから出発して大事件を扱い、講談調の語りで多くの視聴者を喜ばせた。また81年からの『クイズ面白ゼミナール』では、「主任教授」を演じて「学生」グループに問題を考えさせる形式をとり高視聴率を達成する。

 最初の著作は66年刊の『話術の科学 うまい話し方と説得の秘訣』で、よく売れたので移動中の乗り物の中で原稿を書くようになる。82年の『気くばりのすすめ』は、体験や歴史から具体的に多くの例をあげ、文庫版を合わせると400万部を超えた。

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source : 文藝春秋 2024年6月号

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