マンションポエム。マンション広告に見られる詩的なキャッチコピーのことをぼくはそう名付けた。「洗練の高台に、上質がそびえる」(野村不動産「プラウドタワー白金台」)といった名調子のことだ。折り込みチラシや、駅や電車内の広告などでよく見かける。物件のアピールの域を超えたその表現は、ポエムと呼ぶにふさわしい。
ぼくはここ数年、よせばいいのに、このマンションポエムを精力的に収集しており、ハードディスクにはポエム画像がたくさんたまっている。
数えたところ、これまでに集めたマンションポエムは1148物件。一番古いものは2004年のものだ。中でも、お台場海浜公園駅のそばに建つツインタワー「THE TOWERS DAIBA」のポエムが印象的だった。
「『惑星』のような輝きを放つ」
「『惑星』のような輝きを放つ」という表現に、それは惑星と言うより恒星ではないのか、と思ったのをよく覚えている。以来十数年。「もうぼくが驚くようなポエムは出てこないだろう」と思うのだが、そんな悲観的な観測を覆す逸品が毎年必ず出現する。業界の「詩人」たちには敬意を表する。
ぼくが収集の対象としているのは分譲マンションだ。ポエムを謳うのはおおむね4000万円以上の物件であることがわかった。全国にマンションポエム付き物件があるが、東京や大阪、名古屋を中心とした都市に限られる。ちなみに海外にもある。