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■野洲駅(JR東海道線/滋賀県野洲市)

 網干駅から新快速に乗り込んで約2時間20分。新幹線なら東京から京都まで行けてしまうほどの旅をしたら到着するのが反対側の終着駅、野洲である。こちらも1時間に2本ほどの列車が京都・大阪方面から走ってきて終点としている。近くには草津や守山、さらに東に行けば観光地としても知られる近江八幡などもある。野洲駅はその間に位置する駅なのだ。

 となれば、網干駅とそれほど違わない雰囲気じゃないか……と思って降り立ってみると、これがビックリである。琵琶湖とは反対側の東口駅前には大きなマンションがいくつもドーン! 背丈の高いビルはこうしたマンションくらいで、あとは商業ビルも少ない小さな駅なのだが、駅のあたりを歩く人の数も網干駅と比べると段違いに多いのだ。最近になって整備されたと思しきキレイな東口駅前のバス乗り場には長蛇の列も……。

滋賀県野洲市にある野洲駅
新しい雰囲気の野洲駅の駅舎

 

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駅の東口にはマンションがいくつも立ち並ぶ

「新大阪まで1時間なので便利ですよ」

 では反対側の西口に出てみればどうか。こちらも真新しい駅前広場に、その周囲には小さいながらも個人経営の飲食店が多く軒を連ねている。少し離れた場所には京セラやオムロンの工場もあるようだから、そこで働く人たちが使っている店なのだろうか。ともあれ、東西ともに網干駅とは比べものにならないほどに賑わっている野洲駅なのである。ここでも駅の利用者に声をかけてみた。

野洲駅周辺には小さなお店がちらほら

「近くに家を買いましてね、新大阪まで通勤してるんですけど、野洲からなら新快速に乗れば1時間くらいですから。最近はマンションも増えているし便利だと思いますよ。ちょっと駅から離れたら田んぼとか緑も多いから子育てにもいいですし」

 網干駅で聞いた話とよく似ているが、つまるところ京都・大阪・神戸などの都心に乗り換えなしでアクセスできるという点で野洲と網干は同じような立ち位置なのである。その上で、野洲は京都や大阪なら幾分か近く、鉄道沿いの“新興住宅地”。滋賀県は京阪神のベッドタウンとして人気があるようだから、野洲駅周辺も新たに引っ越してくるにはうってつけの町なのだろう。

そして終着駅といえば「車庫」

 と、こうして網干駅と野洲駅という京阪神新快速の二大終着駅を巡ってみた。盛んに18きっぷを利用しているような人なら「どっちも車庫が近くにある駅でしょ」というくらいには想像がつくだろうが、それももちろん正解。網干駅近くには網干総合車両所があるし、野洲駅近くにも網干総合車両所宮原支所野洲派出所がある。終電間際に網干行・野洲行が増えるのはこうした理由からだ。でも、わざわざ途中下車して駅のあたりを歩いたことがある人はきっと少ないはず。年末年始、18きっぷを使って関西を旅するならば、あえてこうした“何の変哲もない終着駅”に降り立ってみてはいかがだろうか。意外な発見がある……かもしれない。

写真=鼠入昌史

今回の路線図。網干駅から野洲駅へは「新快速」で2時間20分ほどだ