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アメリカで「こんまり」ブーム 疲れた米国人が日本文化に求める「ささやかな幸せと前進」

日本発の国際コンテンツは禅、“生き甲斐”、森林浴?

2019/02/09

「これは嬉し泣きよ。お別れは悲しいけど、あなたのおかげで家を楽しめるようになれた。あなたのおかげで変われた、助けてくれてありがとう」

 涙する白人女性に感謝されて微笑むのは、日本出身の片づけコンサルタント、近藤麻理恵。これは、Netflixで配信された近藤の番組『KonMari ~人生がときめく片づけの魔法~』のワンシーンだ。

米人気番組「The Late Show with Stephen Colbert」にゲスト出演した近藤麻理恵 ©Getty Images

「キッチンをマリエ・コンドーする時?」

 現在、この番組はアメリカで大ヒットし、社会現象を巻き起こしている。リリースされるやいなや、CNNやWashington Postといった大手メディアが「リサイクルショップへの持ち込み増加」などのコンドー・エフェクト(近藤効果)を報道。リリース直前には70万ほどだった近藤のInstagramのフォロワー数は220万に到達した。

「ときめき」を意味する単語“spark joy”はNewYorker誌の風刺画に登場するほど普及した上、インターネットで「こんまりメソッドの実践」を意味する造語“Kondo-ing”まで流行する事態となっている。「キッチンをマリエ・コンドーする時?」と尋ねるCNNの投稿を見れば、もはやその名前自体が「片づけ」を意味する言葉として流通していることがわかる。

「今の自分にとって必要なモノ」を見極めるセラピー的番組

『KonMari』はセラピー的リアリティショーだ。近藤から片づけ方法をレクチャーされた依頼主が、掃除を通して人生の問題を解決していく。

米コメディアン・ハサン・ミナージュに片付け術を教える近藤麻理恵


 こんまりメソッドがモノに対する「ときめき」感情の精査を重要視するからこそ、番組中の掃除が「今の自分にとって必要なモノ」を見極める精神的な作業になっている。新婚カップルや未亡人など「人生の変化段階」に在る相談者たちは、近藤の教えの実践をとおして「本当に欲しいモノ」を理解して新たな人生の扉を開けていくのである。自己啓発コンテンツがポピュラーなアメリカにおいて、こうした番組が受け入れられたことは驚きではないだろう。