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宇野 維正
2017/01/30

話題のドラマ『カルテット』、その本当の「新しさ」とは?

最も優れた「テレビドラマの批評家」は役者である

 昨年2016年は、音楽、映画をはじめとするあらゆるエンターテインメントの分野において、大きな転換点となる出来事が起こった1年だった。この連載では、そんな激動する国内外のエンターテインメントの最前線で現在何が起こっているかについて、「まぁいろいろあるけど、エンターテインメント界全体の未来は明るいよね」という視点から、様々なトピックについて率直に書いていこうと思う。

 1月、4月、7月、10月は各テレビ局が新たな連ドラをスタートさせる時期。中でも「1月期ドラマ」は、プロ野球の延長放送や国際的なスポーツイベントと被らず視聴者を習慣づける上で有利なこともあって、伝統的に「視聴率で負けられない役者」が優先的に民放の連ドラに出たがるタイミングだ。もっとも、今やプロ野球の地上波放送はほぼ絶滅し、このところ視聴率が厳しく問われる民放よりもNHKやBSのドラマを優先する役者も増えていて、これまでのルールは変わりつつある。中でも、低調が続くフジテレビの避けられ方は目も当てられないほどで、SMAP解散後初主演という話題性もある『嘘の戦争』の草なぎ剛(なぎは弓へんに剪)を唯一の例外として、他のプライムタイムの連ドラ主演陣は西内まりや、香里奈、小雪とキャスティングの時点で白旗を上げているような状態である(役者としての評価うんぬんは抜きにして、他局ならば連ドラの主役を張れるクラスではないという意味で)。

『逃げ恥』の火曜22時枠で放送されているのは……

 もっとも、「視聴率で負けられない」のも「フジテレビを避ける」のも、便宜上「役者の意思」のように書いてきたが、ここでいう「役者の意思」の大部分は彼ら/彼女らの所属する事務所の思惑である。しかし、そうした事務所の思惑とは別に、人気、実力のある役者たちが集まる「場」となっている連ドラが今期は放送されている。火曜22時の『カルテット』(TBS)だ。

 人気脚本家の坂元裕二が脚本を手掛ける『カルテット』は、四重奏を意味するタイトル通り、松たか子、松田龍平、満島ひかり、高橋一生の4人が主演を務めるドラマだ。松たか子が民放の連ドラに出演するのは『運命の人』(TBS)以来、5年ぶり。その前は2006年の『役者魂!』(フジテレビ)になるので、この10年で2回しか連ドラには出ていないことになる。松田龍平も、民放連ドラへの出演は今回の『カルテット』がまだ3作目。満島ひかりと高橋一生は、過去に何本も坂元裕二脚本ドラマに出演してきた、いわば「坂元組」の役者である。

ヴィオラを担当する高橋一生の色気あふれる演技も話題