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「ほぼ日」上場、糸井重里の後継者は「オバマ」?

糸井重里、言葉の経営術

 前アメリカ大統領の名前が飛び出したのが、約2時間に及んだインタビューの最終盤だった。

「うーん……オバマですね!」

インタビューに答えた糸井氏 ©文藝春秋

 3月16日、コピーライターの糸井重里さん(68)が率いる株式会社「ほぼ日」が、東京証券取引所のジャスダック市場に上場を果たした。

 初日は買い注文が殺到して値がつかず、二日目に公開価格の2倍以上となる5360円という初値がついた。糸井さんという著名人が経営し、根強いファンのいるウェブページ「ほぼ日刊イトイ新聞」を運営、発行部数66万部の「ほぼ日手帳」の販売を手がける企業の上場だけに注目を集めた結果だ。

 だが、上場の翌日に話を聞いた糸井さんに気負いのようなものは感じられず、これまでと変わらないわかりやすい言葉で「上場の狙い」や「会社の未来」について語ってくれた。

 そして前アメリカ大統領のバラク・オバマの名前が出たのは、こちらが「後継者としてどんな人物をイメージしているのか」という質問を投げかけたときだった。

 あまりに突拍子のない名前に驚いたが、「社会的に失礼ではなく、適度にカジュアルなかっこいい姿勢」をとるためによくオバマのモノマネをしているという糸井さんがその理由を説明し始めると、取材陣や「ほぼ日」スタッフは大爆笑に包まれた。

 この肩の力の抜け具合と、「有価証券報告書」の作成でもこだわったという言葉の力こそが、糸井さんならではの会社経営術や「ほぼ日」独特のブランド力につながっているのだろう。

「ほぼ日」ブランドが生きた商品 ©文藝春秋

 発売中の「文藝春秋」5月号では、8ページにわたって糸井さんのインタビューを掲載している。

 上場の理由や後継者についての考え方のほかにも、「現在は『在庫の時代』」「目指すのは農業的成長」など、独自のキーワードを交えて、“経営者”糸井重里が本音とビジョンを語っている。