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鳥集 徹
2017/05/05

科学的根拠に基づくがん予防 驚異的な効果の“5つの習慣”とは?

最新の医学研究からわかった予防法は意外にも……

 みなさんに問題です。

問)がん予防法を徹底すれば、どれくらいがんのリスクを下げられるでしょう?

 実は、生活習慣を見直すだけで、がんのリスクは驚くほど下がるのです。ぜひ、本文を読んで確かめてみてください。答えは記事の最後にあります。

 前回、日本人のがんの原因として、どんな要素がどれくらいを占めているかを住民調査のデータなどから推計した国立がん研究センターの研究を紹介しました(Ann Oncol. 2012 May;23(5):1362-9.)。

 それによると、まず「喫煙」が大きく、男性ではがん罹患の29.7%、がん死亡の34.4%、女性は、がん罹患の5.0%、がん死亡の6.2%を占めていました。

 また、「感染」も大きく、男性ではがん罹患の22.8%、がん死亡の23.2%、女性ではがん罹患の17.5%、がん死亡の19.4%と推計されています。

 三番目に大きいのが「過度の飲酒」で、男性ではがん罹患の9%、がん死亡の8.6%、女性はがん罹患、がん死亡とも2.5%が、過度の飲酒に起因すると考えられています。

最先端の研究からわかった科学的な予防法は意外にも…

 つまり、これらの要素をできるだけ避けることで、がんを予防することができるのです。実際に、これらの研究などをもとにした、具体的ながん予防法が提唱されています。どんなものか、国立がん研究センターが作成したパンフレットから抜粋してご紹介しましょう(「日本人のためのがん予防法」平成27年2月)。

<喫煙>   たばこは吸わない。他人のたばこの煙をできるだけ避ける
<飲酒>   飲むなら、節度のある飲酒をする
<食事>   偏らずバランスよくとる
<身体活動> 日常生活を活動的に
<体形>   適正な範囲内に
<感染>   肝炎ウイルス感染検査と適切な措置を。機会があればピロリ菌感染検査を

 いかがでしょうか。あまりにも当たり前のことばかりで、拍子抜けした人が多いのではないでしょうか。ですが、これが現時点で、第一線の医学研究から導き出された科学的ながん予防法なのです。

まだまだ多い日本人の塩分摂取量

 <喫煙>の害については言うまでもないでしょう。タバコは肺がんだけでなく、あらゆるがんのリスクを上げます。また、がんだけでなく、心筋梗塞や脳卒中のリスクも高めます。ですから、健康のためにタバコは是非ともやめるべきなのです。この予防法でも「タバコを吸っている人は禁煙をしましょう。吸わない人は他人のたばこの煙をできるだけ避けましょう」という目標が設定されています。

 <飲酒>については、「飲む場合はアルコール換算で1日あたり約23g程度まで」とされています。これは、日本酒なら1合、ビールなら大瓶1本、ワインならボトル3分の1程度に相当します。これぐらいの適度の量の飲酒なら心血管疾患のリスクを下げるとされていますが、アルコール摂取量に比例してがんのリスクも高くなります。ですから、呑兵衛はお酒を控え、飲まない人、飲めない人は無理に飲まないことが大切です。

 <食事>では、「塩蔵食品、食塩の摂取は最小限に」することが強調されています。なぜなら「いくら」「塩辛」「練うに」「漬物」「塩魚」といった、塩分濃度の高いものをよく食べる人ほど、胃がんのリスクが高くなるという研究結果が出ているからです。このパンフレットで設定されている1日当たりの食塩摂取量の目標値は、男性が9g未満、女性が7.5g未満で、高塩分食品は週に1回未満とされています。2015年の20歳以上の日本人の1日当たりの食塩摂取量の平均値は男性11.0g、女性9.2g(平成27年「国民健康・栄養調査」)ですから、まだまだ多いと言えるでしょう。

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