年々ローンはきつくなるのに、資産価値はどんどん落ちてゆく。マンション大崩壊の時代、我々庶民に打つ手はないのか? 「庶民の味方」荻原博子さんは、希望を捨てるな、という。そこで、ごく普通の中古物件を「お宝」に変える方法を荻原さんに聞いてみた。
――私もそうなんですが、分譲マンションに住み、ローンを返済している人にとって、最近は暗い話ばかりです。まず、ローン返済が苦しい。
荻原 それは国の政策がいい加減だったからです。今、ローンで苦しんでいる人たちの多くは2000年前後にマンションを買っています。この時期、アジア通貨危機に端を発した不況脱出のため、国はありとあらゆる手で、庶民に家を買わせようとしました。建築基準法を改正して、建築確認や検査を民間に開放し、さらに税金の住宅ローン控除を過去最大の600万円近くまで拡大した。そして、住宅金融公庫の金利が史上最低の2%になりました。頭金も必要なくなったので、つい先々のことをよく考えずにローンを借りてマンションを買ってしまった人がたくさんいたんです。ところが、このローンは、10年後には金利がバンと跳ね上がる仕組みになっていました。10年後には給料も上がっているだろうから大丈夫と思ったのでしょうが、長引くデフレで給料はさっぱり上がらなかった。この住宅ローンが原因で破産した人がたくさんいます。
――私も、売ってしまおうかと思ったのですが、今、中古物件の市況は最悪ですね。2000年前後から大量のマンションが供給され続けたので、よほど条件のいいところでない限り、値崩れもいいところです。
荻原 買った時は、いざとなれば売ればいいし、多少の儲けも出るだろうくらいに考えていたのに、現実は、売ったら住むところがなくなって、ローンだけが残るというひどい状況です。すでにマンションは「資産」ではなくなっているんです。