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鈴木 涼美
2017/05/17

マナーを守らない人を晒す前に考えたいこと

鈴木涼美さんに聞いてみた。

Q 歩きタバコをする人について、どう思いますか?

 鈴木さんは歩きタバコする人についてどう思いますか? 私は歩きタバコが本当に嫌いです。誰がタバコを吸おうとどうでもいいし病気になろうがどうでもいい。お金払ってリスク背負ってるだけでしかないと思っていて、別にそこは問題ではないのですが、歩きタバコは本当に今人生で一番の疑問です。

 思うに、歩きタバコをすることは、非喫煙者が唾を人に向かってペッペと吐きながら歩くようなもの、他にも、喫煙所が見えていてそこに着く前に吸い始める横着は、トイレの手前でのおもらしと重なります。一大人として、恥ずかしくないのでしょうかって思うんです。(20代・男性)

A それは良くないと思います。で、前提である規律とマナーについても考えてみますと……

 どう思いますか? と聞かれれば、良くないと思いますと答えますし、ほとんどの日本人がそう答えるのではないでしょうか? 禁煙圧力は世界的ですから、日本人以外の人も多くがそう答えるはずです。まず路上を禁煙にした日本と比べて、まず屋内を禁煙にした国では、受ける印象は多少違うでしょうけど。私自身、生まれてこのかたしたことがないかと言われれば自信はありませんが、少なくとも今の東京で歩きタバコが許されている場所はほとんどないですから、条例に従って歩きタバコはしていません。

©getty

規律とマナーは別物であることをちょっと考えてみる

 質問者の方は、歩きタバコは周囲の人に不快感を与える行為であり、喫煙所が設置されているにもかかわらずそこではない場所でタバコをくわえることは大人として恥ずかしい行為だからダメである、と主張されます。筋の通った話だと思います。確かに路上でタバコを吸っていたら、ベビーカーに灰が落ちてしまうかもしれないし、身長の低い子供の目に火が入ってしまう恐れもあります。

 ここで、一つ問題を提起させていただくとすれば規律とマナーについてです。法治国家に住んでいますから、法律は守らなくてはいけない。地域の条例も守らなくてはいけない。守らないならば、罰せられても文句は言えません。では、法で定められていないマナーはどうでしょうか? シルバーシートに若くて元気な人が座っても、別に警察に捕まる訳ではありません。お箸からお箸へ食べ物を渡しても捕まりません。芸能人のプライベートを写真に撮ったり、ホストやホステスの恋愛事情を暴露したりしても、訴訟になることはあれ、多くが罰せられずに野放しになっています。劇場の最前列の座席で爆睡しても、そうです。

 法はどんな人にも適用されるわけですから、例えば海外旅行に行ったら、その国の法律に従うことになります。しかし、はっきり明文化されている訳ではない、或いは全く明文化されていない、或いは新しいマナーはどうでしょうか? 国によってものすごく違い、地域によってすら違うことがあるそのようなマナーを私たちはどれくらい尊び、また重んじる必要があるのでしょうか?

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