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西澤 千央
2017/06/06

福原愛さんの「魔球」が冴え渡るツイッター戦術

そして今日も「みんなの愛ちゃん」でいつづける

 卓球台からようやく顔が出るか出ないかの少女が、悔し涙を流しながら卓球をする姿がテレビで話題となったのは今から20年以上前のこと。それ以降「卓球の愛ちゃん」として、本人が望むと望まざるとにかかわらず勝手に成長を驚かれたり、喜ばれたり、時に苦言を呈されたりしてきました。そう、福原愛選手のことです。ある年代以上の人間全員がここまで“疑似親気分”に浸るって、えなりかずきか愛ちゃんくらいなもんです。

 そんな福原選手がこのたびツイッターを開始。29日現在で軽く12万フォロワーを超えて卓球の愛ちゃん人気の盤石っぷりを見せつけております。しかしなぜ今ツイッター? 多くの芸能人が乗りこなそうと挑んでは振り落とされて捨て台詞とともに去っていく、この暴れ馬ツイッターに……。そんな気持ちで福原選手のアカウントを見ると、その巧妙かつ熟練した戦い方に私、震えました。というわけで、今回はある意味オリンピックより世界卓球よりもすごい、福原愛のツイッターシングル戦を考察してみたいと思います。

愛ちゃんの「サー!」が聞こえる初ツイート

 ファーストツイートは「皆さんこんにちは! 福原愛です(^.^)」「色々な方のつぶやきが見たかったので、Twitterを始めてみました!」「初ツイートは大好きな仙台のお菓子、喜久水庵といっしょに(`・ω・´)」。今ではおじさんすら使わないであろう微妙な顔文字の絶妙な野暮ったさ、「色々な方のつぶやきが見たいから」という言い訳になっていない言い訳、さらに地元仙台への愛を忘れないしたたかさ。はい、ポイント福原。「わし何回テレビの前で泣いてきたと思っとんじゃ……」という凄みさえ感じさせる、完璧な「有名人アカウントの初つぶやき」ですよ。

初々しさと、サービス精神に溢れた福原愛さんの初ツイート(本人のツイッターより)。

 現在は夫・江宏傑とドイツで暮らしている福原選手。「日本は夜中だからみんな寝てるのかな??」というツイートでその辺りのさりげないアピールも抜かりなし。スポーツ選手SNS界のゴット姉ちゃんこと吉田沙保里パイセンへの挨拶も早々に済ませ、着々とポイントを重ねていく福原選手。しかし、それより何より、「私、ツイッターよくわからなくて……」サーブがマジ、魔球すぎます。何ていうか、いま時分誰もやらないからこそ、すごい。

「見れてるのかな? それとも私だけ見れてるのかな? 聞く人がいない…(変な顔文字)」

「リツイートってなんだ…沙保里さん、上手に返信できてなかったらごめんなさい(変な顔文字)」

「皆さんに質問ですっ フォローしないでこっそり他の方のTwitterを覗き見したら、足あとみたいなのは残りますか?(変な顔文字)」

 もうこんなことされたら有名人にリプ大好きおじさんたちは一斉にうれションリプライまき散らしちゃいますよね。知ってるだろうに、調べりゃ秒でわかるだろうに、あえて聞いてくる。こういうところ、長く不特定多数からの寵愛と庇護を受けて育ってきた自信と、常に何かを提供せずにはいられない悲しきサービス精神が見え隠れして、グッとくるんですよ。