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大山 くまお
2017/06/03

加計学園問題 「あったものを、なかったことにする」総理周辺の“見過ごせない発言”

「いいとか悪いとかではなく『一強』だからできる」

和泉洋人 首相補佐官
「総理が自分の口から言えないから、私が言うんだ」

『週刊文春』6月8日号

 名言、珍言、問題発言で1週間を振り返る。安倍晋三首相の「腹心の友」が理事長を務める学校法人「加計学園」に関する疑惑が続いている。

 獣医学部の新設について内閣府が「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」などと伝えた文書が発覚。5月25日発売の『週刊文春』6月1日号では、前川喜平前事務次官が「『総理のご意向』などと記された一連の文書は、私の手元にあるものとまったく同じ。間違いなく本物です」と告白した。同日に行われた記者会見では、「あったものを、なかったことにできない」と語っている。

和泉洋人首相補佐官(右) ©共同通信社

 菅義偉官房長官はさっそく記者会見で「(一連の文書は)出所不明で、信憑(しんぴょう)性も欠けている。その点は昨日の(前川氏の)会見があっても変わらない」と強い調子で否定した(朝日新聞 5月26日)。菅官房長官はこのところ毎週(場合によっては毎日)のように記者会見で何かを否定している。本当に大変なお仕事である。

「獣医学部の件、どうなっているの?」

 しかし、前川氏は次なる告白を行っている。昨年9月上旬に和泉洋人首相補佐官から官邸に呼び出され、「国家戦略特区の獣医学部新設の手続きを早く進めるように」と指示を受けたという。その際、和泉氏が前川氏に告げたのが冒頭の言葉だ。昨年9月といえば、先の「総理のご意向」文書を前川氏が受け取った時期と重なっている。

 昨年8月に国家戦略特区を担当する地方創生相が石破茂氏から、「学芸員はがん」発言でおなじみの山本幸三氏に代わり、長らく止まっていた獣医学部新設問題が大きく動き始めていた。このことについては「不思議ですよね。なぜ大臣が代わることでこんなに進むのか」と石破氏が疑問を呈している(『週刊文春』4月27日号)。

 10月中旬、前川氏は再び和泉首相補佐官に呼び出されて、「獣医学部の件、どうなっているの?」と問われたという。文科省は獣医学部新設について慎重な姿勢だったため、前川氏は明確な返事を避けたが、「『早く進めてほしい』という内容だった。タイムリミットということで焦っていたのではないかと思う」と当時のことを振り返っている(朝日新聞 5月26日)。

安倍夫妻 ©雑誌協会代表

 獣医学部の新設が50年以上認められなかったのは、獣医師が足りていると考えられているから。文科省ならびに農水省、厚労省、日本獣医師会の見解である。官邸が岩盤規制に穴を開けるために国家戦略特区を作ったのだから、加計学園の獣医学部新設には何の問題もないという見方もあるが、そもそも獣医系大学は現在、国内に国公私立あわせて16ある。それでも獣医が足りないという見方を誰もしていない中、官邸が主導して猛スピードで新設の認可に動いていたわけだから、安倍首相と加計学園理事長・加計孝太郎氏による「男たちの悪巧み」(by 安倍昭恵首相夫人)が背後にあったと思われるのも仕方がない。

 和泉氏は『週刊文春』の取材に対して、「面会の記録が残っておらず、確認できません」(6月8日号)と回答している。こういう回答もそろそろ見飽きてきた。また、朝日新聞の取材に対しては「(安倍首相から)具体的な指示を受けたことはありません」と回答している(5月26日)。安倍首相は変わらず「圧力は一切ない」と否定した(共同通信 5月29日)。

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