昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

【巨人】村田修一は日本のすべてのサラリーマンの代弁者である

交流戦 指名対決 テーマ「DHのミカタ」 文春野球コラム ペナントレース2017

交流戦のDH制度で巨人にあの男が帰ってくる

「セ・リーグにDH制があればなぁ……」

 今季、巨人ファンがこぼす愚痴ベストスリーにランキングするであろう一言だ。「守備が苦手な岡本もDHがあったら」とか「もしDH阿部ならば内野守備も大分マシになる」みたいなタラレバ問答。そんなのただの現実逃避だって分かってる。けど、いつの時代も人は日常のしがらみから逃げてプロ野球へ辿り着くのである。

 ちなみに今回の文春野球コラムはオリックスとの対戦形式でアップされる。お互いにリーグ4位のBクラス。優勝争いの高揚感もなければ最下位の絶望感もない。倦怠期のカップルみたいな毎日を生きている。マジ中途半端。嫌いになれたらラク。でもなかなか別れられないファン心理。とにかくマンネリ打破の刺激が欲しいわなんつって、やってきたのが交流戦だ。

 個人的には楽しみで仕方がない。いきなり仙台であっさり楽天に3連敗を食らったけど、救いはDH制のおかげで村田修一がスタメン出場できたことだ。6番ファーストで登場した第3戦では相手エース則本昂大からの2号2ランアーチを含む3安打2打点の固め打ち。2日、オリックス戦では4番打者として連敗中のチームを鼓舞する3号2ランをかっ飛ばした。そうなんだ、しっかり試合に出ればこれだけの結果を残せる。いや逆風でこそ、村田は強い。これまでもずっとそうだった。

今季、スタメンでの出場が激減している村田修一 ©時事通信社

36歳、おっさんビギナーの苦悩

 思えば、昨季もオープン戦は若い元ドラ1スラッガー岡本和真がスタメンで、代打出場が続く日々。だが、開幕するとポジションを奪い打率.302、25本、81打点。三塁ベストナインにゴールデングラブ賞のダブル受賞という文句のつけようがない好成績。来年も巨人のサードは頼んだぞ、村田さん。誰もがそう思ったが、オフに球団が連れて来たのが新助っ人のケーシー・マギーだった。

 厳しい。これほど、厳しいポジション争いをしている選手が今の巨人にいるだろうか。何があっても外されない、ほとんど聖域と化してる選手もいる中で、若手スラッガーや助っ人大砲と次から次へと刺客が送られてくる。

 考えてみてほしい。あなたが営業の仕事で最高の売上げを記録して、さあボーナスが上がるぞと思ったら、由伸社長はこう言うんだ。「すまない、これからは会社がヘッドハンティングして来たマギーを使う」ってさ。おいおい去年は「期待の若手社員の岡本を育てたい」じゃなかったか? どれだけブレブレのチーム編成だよ。オレは巨人のかませ犬じゃないぞ。ちくしょう、今夜はヤケ酒だ。俺が村田ならそう思う。

 本当にやるせない。阿部慎之助もマギーも確かにいい選手だ。けど競争すらさせてもらえず、仕事を外された時ほど悔しいことはないっすよ。栄光の松坂世代の村田も、早いものでおっさんビギナーとも言える36歳。気が付けば、ひとりの同世代として球場で背番号25を目で追う毎日だ。

 自分がなってみて初めて気付いたけど、世間は中年男性に冷たい。女性専用車両、映画レディースデー、東京ドームもピンクのガールズシートはあっても、おっさんシートはない。会社では中間管理職として若手社員にチャンスを譲り、新卒のおネエちゃんをガチで口説こうと飲みに誘ったら帰り際に「相談に乗ってくれてありがとうございました」とかあっさり言われちゃうあの感じ。おいおい、もう少し現役でいさせてくれよ……。