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【楽天】まさにプロ野球選手の鑑 藤田一也が見せた“神対応”

文春野球コラム ペナントレース2017

鳴門市のデイサービスで発見した藤田一也のサイン

 2014年の一月末頃だったか徳島県鳴門市にあるデイサービスに営業のお仕事で行った時のこと。楽屋として用意していただいてた部屋に、一枚のサインが飾られていた。よく見ると楽天イーグルスに6と書いてあるではないか。

「僕、楽天ファンなんですよ! 藤田一也選手のサインですね!」

 すると職員の方が部屋の窓をあけ、畑の向こうを指差して言った、

「その前の道を真っ直ぐ行ったら藤田君の実家や」

 えっ。。

「こないだ餅つき手伝ってくれてなぁ。」

 えっ。。

 なに。。

 餅つき??

 どうやら、そのデイサービスに藤田一也選手の親族も顔を出すことがあるらしく、鳴門に帰って来た際に、餅つき大会で使う臼と杵を運んでくれたのだという。

 車イスに乗ったおばあちゃんは教えてくれた。

「偉くなって、もう私らなんかしゃべられへん思ってたら、優しく声かけてくれて、一緒に、写真まで撮ってくれてホンマに優しいええ子やねぇ」 

 偉くなったというのは日本一になりベストナイン、ゴールデングラブ賞をとった事を言っているのだろう。2013年は24勝無敗のエース田中将大投手に、AJ、マギーの活躍が目立っていたが、陰のMVPに藤田選手を推す声も多かった。

 とくに田中投手は「藤田さんの守備がなければ負けていた試合がある」と口にしたほど。6月9日の巨人戦での3つのファインプレーに、最後は田中投手がベンチ前で帽子をとって出迎えていたのをよく覚えている。当時の星野仙一監督も藤田の守備は10勝以上の価値があると言っているのだから、MVPが認めるMVPではないだろうか。

2013年の陰のMVP・藤田一也 ©文藝春秋

 そんな選手が日本一になった翌年のお正月に地元の鳴門に帰り、近所のおじいちゃんおばあちゃんのために杵と臼を運んであげる。なんて素敵な話なんだ。もちろん本人にとっては特別な感覚もなくごく自然な行動なのだろう。そしてそれは、私かみじょうたけしに対しても例外ではない。

「なんかおまじないしてください」

 仕事で球場に行く場合は必ずグラウンドに降りて監督、コーチ、選手、スタッフの方々に挨拶に行くのだが、通常は僕の「こんにちは!」に対して「こんにちは!」である。もちろんこれでいいのだが、藤田さんは必ず、

「かみじょうさん、今日もありがとうございます!」

「かみじょうさん、写真とりましょうよ!」

「今日はゆで卵何個食べました?」

 それに対して僕も、

「今日も応援させてもらいます!」

「いいのですか? ぜひよろしくお願いします!」

「六個やっ」

 グラウンドに降り緊張しているおっさんを見かねて、自ら声を掛けてくれる神対応。本当にいつも頭が下がります。

 極めつけは5月11日のマリーンズとの試合前、挨拶に行った僕に、

「かみじょうさん、バッティングの調子が悪いんです。なんかおまじないしてください」

 えっ。。

 藤田さんにおまじない? できるわけないよね? おまじない芸人でもないし。

 そもそもおまじないてどないするの? アカン、わからん。でもせっかく話しかけてくれてるのに、でけへんなんて芸人として0点やし。やるしかない。やるしかない。

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