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山本 一郎
2017/07/20

「子供が楽しみな夏休み」とかいう憂鬱

私の時間が狭くなる

 待ちに待った夏休み。去年は長男が、今年は次男も小学校に上がり、両手いっぱいの夏休みの宿題を抱えて一学期最終登校から帰ってきた兄弟は、三男も加わって目を輝かせながらアクティビティ・プランを語るわけであります。

ヲタ街道まっしぐら 父としてとても心配です

 連れて行ってほしいところリストは三兄弟バラバラ。宇宙好きの長男は筑波や相模原、野辺山やら種子島やら肝付やらの宇宙センター等に。博物館好きの次男はお台場の日本科学未来館や上野の科学博物館に。モーターやピストンなど動力が好きな三男は動いているモーターを見たくて鉄道博物館や地下鉄博物館に。何というか、三兄弟揃ってガッチリ理系。他に興味はないのか。一分の隙もないようなヲタ街道を幼少期からびっしりと舗装している感じで、いまから父としてとても心配です。

夏休みの出かけ先を巡って審議が続く三兄弟

 しかしながら、パンフレットや図鑑片手に夏休みにどこに連れて行ってもらうか鼎談を続ける兄弟を見るのは親として興味深い一方、重大な問題がそこには横たわっているのであります。

 誰がお前らをその場所へと連れて行くのか――。

夏休みという、子育ての多難

 家内もしばらく体調が芳しくなく、私自身も親の介護その他に奔走している状態ですが、なるだけ子供たちが多感な時期にいろんなところに連れて歩こうとすると、仕事の時間、睡眠の時間、趣味の時間といった私の人生の実りに直結している時間帯をすべて削ってお前らに捧げなければならない。それが子育てだとするならば、あるいは、子育てと人生の両立を目指すとするならば、これは多難でありますよ。本格的に。ええ。

科学博物館で「はやぶさ」を熟視する三兄弟

 んで、人生の先輩に教えを請おうと身近な子持ちに話を聞くと、サマーキャンプに数日間、何回かに分けて放り込んで楽をするとか、実家に預かってもらうなどなど、あんまり役に立たなさそうなアドバイスだけが返ってくるわけであります。もちろん、共働きで子供の夏休みを迎えると自宅にぽつんと置いておくわけにもいかないので、この手のサマーキャンプに子供を送り込めば楽しく数日家を離れていてくれる、学童保育に行ったり来たりするよりは良いというのは分かります。でもまあ何というか、私自身も「鍵っ子」であった人間として、親となり子供を持ったからにはなるだけ放置プレイにはしたくないな、親と一緒にいてくれるそう長くない年月は、悔いのない親子関係を築きたいなと思ってしまう派なのであります。