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山本 一郎
2017/08/10

子育てにおける「お姉さん」と「おばさん」の境界線問題

礼節は弱者の武器

 習い事や近所のお店に子連れでいって、親切にされることがあります。それは同じ習い事をしている顔見知りのママ友であったり、レストランやスーパーでレジに立つ女性だったり、いろんな人がいて社会は成り立っているんだと思うことは多いのです。私も、一向にお迎えが来なくて泣いている女の子がいたら私の息子と一緒に少し待っててあげたり、エスカレーターのない駅の階段で荷物抱えて難儀している女性がいたら声をかけて持ったりしたりすることはあります。当たり前の気遣いというか、できるならやってあげたほうがいいことって世の中にはたくさんあると思うんですよね。

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子どもが微妙な年齢の女性の前で「おばさん」と言ってしまう懸案

 ひとつむつかしいのは、店の女性が拙宅山本家の息子たちに何かをくれたとき、どうするかです。もちろん「ありがとう」とその女性に御礼を言うよう子供たちには言い含めてあります。だから、もらって感謝を伝えるというところまではいいんです。

 しかしながら、もらってすぐ私を振り返って「おばさんから、これをもらった」と報告するのはやめてください。目の前にいる女性の顔色がぐんぐん変色していくさまを観察することを強いられる私の気恥ずかしさはマキシマムになります。御礼をいうことまでは気が回っても、微妙な年齢の女性の前で「おばさん」と言ってしまう懸案の課題について教えるのは極めて困難なのです。

 やはり、人間若くみずみずしい存在であり続けたい。だからこそ、メイクに力を入れたり若く見られる服装をしたり活動的な日常を送ったりして、なるだけ健康で若々しい自分であろうとするのです。そういう日ごろの努力を正面から粉砕する「おばさん」呼ばわりをしないことは、穏便かつ平和な現代社会を生き抜くための最低限のコミュ力担保なのですが、子供は悪気なく見た通り話をするから子供なのであって、「若く見られたいと思っているであろう相手に気を遣え」というのはなかなか困難なのです。

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