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特集クイズです

最近のクイズ番組から失われたもの クイズ王・能勢一幸が語った未来

「実力があっても、答える声がすごく小さくてはショーにならない」

伝説の「ポロロッカ」0.9秒、本当のすごさとは?

――クイズといえば早押し問題のイメージが強いですが、早押し対策で鍛えられる思考力みたいなものはありますか?

能勢 私の話ではありませんが、早押しの神様的なクイズ王、西村顕治さんの持っている力は、そういう思考力につながるところがあるかもしれません。

 

――どういうことでしょうか?

能勢 西村さんが『史上最強のクイズ王』で見せた伝説の場面があるんです。出題者が「アマゾン川で」まで読みあげたたった0.9秒で「ポロロッカ」と答えた神業的早押し。「アマゾン川で起きる現象で、潮の干満によって引き起こされる逆流現象を何というか?」という問題ですが、西村さんは「アマゾン川で」の「で」で「ポロロッカ」という答えであることを瞬時に判断しているんです。「アマゾン川が」だと、傾向としては違う答えを求める問題になるんです。英語だと最初にWhoとかWhereがきてしまうので、何を聞くのかわかってしまうけれど、日本語だと情報が小出しになるので「で」なのか「が」なのかで判断が問われるんです。

――プロの目から見ると、そういうすごさがあるんですね。

能勢 クイズの技術論ではあるのですが、西村さんの分析力と判断力、早押しの技量はとにかくすごい。クイズ作家の意図と、それまでに出された問題の難易度、そして相手の早押しの技量、局面。そういったものを総合的に一瞬で考えて判断されて躊躇なく押してますよね。

『ミリオネア』の賞金1000万円、何に使った?

――クイズには集中力も必要だと思いますが、能勢さんはメンタルトレーニングはするんですか?

能勢 特にそういったトレーニングはしませんが、『クイズ$ミリオネア』に挑戦したときには出場経験のある友人から「みのさんの『ファイナルアンサー』にはペースを乱されるから気をつけろ」とアドバイスを受けましたね。

『ミリオネア』は独特の雰囲気で…(中央が能勢さん) 写真提供:能勢一幸さん

――司会のみのもんたさんの、独特の進行が名物の番組でもありました。

能勢 “みの対策”としては、「問題を作っているのはクイズ作家だから、これはクイズ作家との闘いだ」と考えることに専念したんです。目の前にいるみのさんのことは考えないように(笑)。あの番組は4択ですし、時間はたっぷりあるので、作家の意図を見抜ければなんとかなる、と自分に言い聞かせて臨みました。

――その甲斐あって全問正解、1000万円を獲得されましたよね。賞金は何に使ったんですか?

能勢 父に退職記念旅行をプレゼントしましたが、とにかく人間関係がおかしくならないように、協力してくれた友人へのお礼額も決めておきましたし、職場やら何やらいろんなところに還元しました。人知れず買った宝くじで1000万当たったほうが、よほど使えるお金は多かったと思います(笑)。