文春オンライン

旭川市14歳少女凍死事件で思い出す、北海道であった「もう一つの女子児童いじめ自殺事件」

滝川市いじめ自殺(2005年)の教訓はなぜ生かされなかったのか

2021/05/01
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「死んだら読んでください」と書かれた7通の遺書

 女子児童が自殺を図った教室内の担任の机に数通の遺書があった。学校側は中身を見ずに保護者に返した、としていた。また、マスコミ向けには「手紙」と発表していた。しかし、その遺書には「死んだら読んでください」と書いてあり、全部で7通が残されていた。そのうちの「学校のみなさんへ」の内容は以下のようなものだった。

 この手紙を読んでいるということは私が死んだと言うことでしょう。私は、この学校や生とのことがとてもいやになりました。それは、3年生のころからです。なぜか私の周りにだけ人がいないんです。5年生になって人から「キモイ」と言われてとてもつらくなりました。6年生になって私がチクリだったのか差べつされるようになりました。それがだんだんエスカレートしました。一時はおさまったのですが、周りの人が私をさけているような冷たいような気がしました。何度か自殺も考えました。でもこわくてできませんでした。でも今私はけっしんしました。私は、ほとんどの人が信じられなくなりました。でも私の友だちでいてくれた人には感謝します。「ありがとう。」それから「ごめんね。」私は友だちと思える人はあまりいませんでしたが今まで仲よくしてくれて「ありがとう。」「さよなら。」

 爽彩さんの場合、遺書はなかった。しかし、文春オンラインの報道によると、失踪当日夕方、ネット上の友人に《きめた》《今日死のうと思う》など、自殺の決意を示すLINEのメッセージを送っている。死を予期した言葉を残していた意味では共通だ。

亡くなった旭川市の廣瀬爽彩さん

校長は「担任の努力ですべて解決済み」

 滝川市の女子児童が書いた遺書については、市教委は親族から遅くとも2005年10月にはその存在を聞いていた。親族は、校長や担任との面談を申し込んでいた。しかし、校長は「担任の努力ですべて解決済み」との見解を示していた。

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 やがて親族は同級生の証言を集めて、いじめの実態が明らかにしていく。女子児童が亡くなった後、学校側は「自殺の原因は不明」「希死念慮があった」「すべて解決済み」と答えるだけだった。一方で、「家族のせい」と言っているという話も耳に入ってきた。