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トミー・リー・ジョーンズが東京国際映画祭で『グレイン』を推した理由

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 第30回東京国際映画祭で、審査委員長を務めたトミー・リー・ジョーンズ。日本を第二の故郷と呼ぶ親日派で、映画祭中も歌舞伎座に2度も足を運んだ。だが、今回一番の歓びは「審査員と友情を築けたことだった」と言う。審査員は永瀬正敏、中国の女優ヴィッキー・チャオら5人。

「5人とも言語が違うから常に通訳が入り、会議はまるで国連のようだったよ(笑)。言葉が違うとユーモアを維持するのが難しいんだ」

 通常、映画祭中の審議は2、3回だが、ジョーンズは上映ごとに15回も行ったという。

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「観た直後、感想が新鮮なうちに意見交換することが大切だと思った。考えは表現しながら成長するもの。他人の意見を聞いて、変わったり、発展していく」

 グランプリにはトルコ映画『グレイン』を選出。近未来を舞台にした社会派SFだ。

「最良の映画祭は、作り手や観客を商業主義から解放するものだと思う。私たちは、カークラッシュも思春期のスーパーヒーローなども必要としない。それが悪いのではなく、必須ではないんだ。私たち映画人は皆さんの時間を無駄にするために生まれてきたのではなく、より良いものにするために生まれたのだから」

 日本ではCMでおなじみだが、ハーバード大学出身でハリウッドきっての知性派。閉会式では『不都合な真実2 放置された地球』で来日していた元米国副大統領のアル・ゴアと熱く抱き合った。2人は大学のルームメイトで、53年来の親友だという。そのまま映画になりそうだ。

INFORMATION

第30回東京国際映画祭
審査結果一覧
http://2017.tiff-jp.net/ja/tiff/list_of_winners.html

トミー・リー・ジョーンズが東京国際映画祭で『グレイン』を推した理由

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