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相澤 洋美
2017/12/18

働きながらステージ4の胆管がんを治療している「エン・ジャパン」の西口洋平さん

キャンサーペアレンツ代表 西口洋平さんインタビュー#1

 子どもを持つがん患者同士が、ウェブサイトを通じて交流できるコミュニティーサービス「キャンサーペアレンツ~こどもをもつがん患者でつながろう~」を主宰している西口洋平さん。現在、サイトオープンから1年半で1,300人以上が登録しています。

 自らを「仕事人間だった」と評する西口さんは、2015年2月、35歳のときに最も進行したステージ4の胆管がんと診断されました。今も、治療を続けながら人材サービス会社「エン・ジャパン」で働いています。突然訪れた「がん」という現実に悩み苦しみながら、仕事や家族と向き合い、前を向いて「生きていく」姿を赤裸々に語ってくれました(前後編インタビュー。#2に続きます)。

西口洋平さん

「気兼ねなく子どもの話ができるがん患者の場」が、絶対に必要だと思っていました

──「キャンサーペアレンツ」は2016年4月のサイト立ち上げからわずか1年半で、登録数が1,300人を超えました。どんな風に感じていますか。

西口 あっという間にたくさんの人が集まったことに驚いています。「僕だけじゃなかった」と思いましたね。僕はがんの告知を受けた時、周囲に同世代の仲間がいなくて、すべて一人で抱えてきたのですが「同じ思いを抱えていた人が多かったんだな」と勇気づけられました。

──「子どもを持つがん患者」であれば、誰でも無料で登録できるんでしょうか。

西口 はい、できます。こういう集まりって、実はありそうでなかったんですよ。患者会はたくさんあるんですが、「行ってみたら高齢の方ばかりだった」「同世代のがん患者と会話がしたかった」という人が多くて。あとは、「子どもの話がいろいろできて嬉しい」と登録する人もいます。

 

──治療の影響で、子どもができないがん患者もいます。

西口 そういう方の前では、やはり子どもの話はしにくいですよね。僕の時はそもそも情報がまったくなかったので、いろんな悩みを一人で抱えてきたのですが、「子どもとどう接したらいい?」「万一の時は子どもに何を残せる?」「子どものために一日でも長く生きて働くためには、仕事をどうしよう」というように、悩みがすべて子ども起点だったんです。だから「気兼ねなく子どもの話ができるがん患者の場」が、絶対に必要だと思っていました。

──同じ病気を持つ子育て世代同士が話し合う場がある、というのは励みになりますね。

西口 病気の治療のことは主治医に聞けばいいんですが、それ以外のことは、誰に何を聞いたらいいのかも分からないんですよ。仕事の話や、家族とのつきあい方、友人関係はもちろん、「出かける時はどうすればいいか」「普段の食事は?」など、日常生活で生じる身近な疑問を、僕自身が聞きたかったし、気軽に話し合える相手がほしかった。

 でもそういう集まりを作るためには、誰かが「ここに子どもを持つがん患者がいて困っています」と手を挙げないと始まらないので、「じゃあ僕がやろう」というのが、「キャンサーペアレンツ」を立ち上げたきっかけです。