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「一体、何のために離脱するの」実を捨てて名を取るブレグジットの迷宮 

2018/01/06

通商協議はイギリスが考えているほど甘くない

[ロンドン発]イギリスの欧州連合(EU)離脱交渉で2017年12月8日午前6時(日本時間同日午後3時)、メイ英首相とユンケル欧州委員長がブリュッセルで会談し、第2フェーズの通商協議に入ることで合意した。早朝の合意があわただしさを物語る。

欧州委員会のユンケル委員長の報道官がツイッターに投稿した合意風景(2017年12月8日)

 第1フェーズの争点に関しては、(1)離脱清算金についてEUは差し引き600億ユーロの支払いを求めたが、ひとまず400億~450億ユーロ(約5兆3000億~6兆円)で決着(2)EU市民の権利は離脱後もこれまで通り保障される(3)北アイルランドとアイルランド間に目に見える国境は復活させない(4)2年の移行期間を設ける、というのが合意の柱だ。

 2016年6月のEU離脱の是非を問う国民投票から1年5カ月余、ほんの少しだがブレグジットの輪郭が見えてきた。第2フェーズの締め切りまで10カ月弱しか残されていないが、通商協議はイギリスが考えているほど甘くない。

 イギリスのEU離脱省は業界の実情と要望を聞き取ってきた。日系企業が「離脱後のビジョンを示せ」と詰め寄っても、同省の担当者は「それは交渉次第だから」との答えを繰り返す。ブレグジットを理由に取引を失った企業もあり、忍耐は限界に達している。