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もうクリスマスに何も感じない

ハロウィンまで日本社会に定着しやがって

2017/12/21
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まるまるほぼ2か月ですよ、クリスマスが。なげーよ

 すみません、わたくしとしたことが少し平常心を欠いてしまいました。しかしですな、最近はハロウィンまでイベントとして日本社会に定着しやがって、今度は浮かれた男女が街中にコスプレで繰り出し乱痴気騒ぎをするという状況になってしまいました。実に嘆かわしいことであります。おまけに、いままではクリスマスシーズンというのは概ね師走はじめのクソ忙しい忘年会シーズンぐらいから始まるのが通例でしたが、昨今ではこの10月末のハロウィンが終わるや否やまだ11月だというのにクリスマスソングが街中に流れて私たちの正気を正面から試しに来るわけであります。

©iStock.com

 まるまるほぼ2か月ですよ、クリスマスが。なげーよ。馬鹿なんじゃねえの。いつまでやってんだよ、クリスマス。さすがにサンタさんも疲れるだろ。子どもたちも11月頭からクリスマスプレゼントに何をもらうかで議論をし始めるし、スタンバってるこちらの身にもなってください。いっそ「私がサンタでございました」とカミングアウトしてプレゼントに何が欲しいのか聴き出す駆け引きを終えて、いくらか小遣いをやって「お前らこれでクリスマスプレゼント自分で選んで買って来いよ」とやったほうがよほど精神衛生上よろしいのではないかと深く思い至る次第です。誰の精神衛生って、私の精神衛生です。

「サンタさん、電波望遠鏡がほしいです」

 あるいは子供たちを仏門に入れてクリスマスで欲望を爆発させることなく大晦日に除夜の鐘でも連打して煩悩を祓うほうにシフトしたほうが世界人類の平和に寄与するのではないかとすら思います。拙宅次男が欲しいものリストを作成して勉強机に置いているという情報を家内から入手したので、寝静まっている夜中に確認したところ設置費用込みで6,000万円ほどするでっかいパラボラアンテナのついた電波望遠鏡の写真とともに「サンタさん、電波望遠鏡がほしいです」という切ない紙片を見つけたときは胸の中が悲しみで一杯になりました。次男の脳内ではトナカイのひくソリに乗ったサンタクロースが重さ60トンはくだらない電波望遠鏡を山本家に運んでくるさまを思い描いているのでしょうか。無理にもほどがある。普段の暮らしに電波望遠鏡がある人生なんて思いもつかない。家の中に電波望遠鏡があるというより、電波望遠鏡が設置してある建物の中に住むぐらいの勢いなわけです。

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電波望遠鏡 ©iStock.com

 長男は長男で「テレビで観て欲しくなった」という格子光シート顕微鏡とかいう電子顕微鏡ばりの逸品が欲しいというし、おのれらはサンタを何だと思っているんだ。クリスマスシーズンは世間や家族に振り回されまくるのが本当に嫌なのです。何から何まで人を試しに来る感がありありしていて、大変辛い思いをします。

クリスマスで浮かれていいのは34歳までとする、とか

 やっぱりですね、クリスマスは法律で制限するべきだと思うんですよ。クリスマス期間と名乗ってよいのは12月20日ぐらいから25日までとする、みたいな。クリスマスをみだりに設定したり、サンタを無許可で名乗ると罰金みたいな。もうそのぐらいやらないと、歯止めがききませんよ。

 あるいは、年齢制限するしかないですかねえ。クリスマスで浮かれていいのは34歳までとする、とかいう。そうすると、子供たちがクリスマスでプレゼントに期待を膨らませるのは許されることになるのか……マジか。しかし、いったい何を買ってやろう。なんでこんなことで私は悩まなければならないのか。クリスマスなんて無ければいいのに。

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もうクリスマスに何も感じない

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