がんとの共存をサポートしてくれる、抗がん剤。外来で治療が行われるようになり、副作用も少ないタイプが次々と開発されているそうですが、一方で「抗がん剤は副作用が怖い」「抗がん剤は効かない」という不安も、よく耳にします。
一体、何が本当で、何が誤解なのか。抗がん剤治療の第一人者、腫瘍内科医の勝俣範之先生にお伺いしました(前後編インタビュー。#2に続きます)。
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腫瘍内科医とは「がんの総合内科医」
──腫瘍内科医とは?
勝俣 分かりやすく言うと、がんの総合内科医です。がん診療全体に対するナビゲーターであり、がん患者と一緒に、よりよい医療が受けられるよう考えていく、コーディネーターともいえます。抗がん剤の専門家ですが、抗がん剤の処方だけをしているわけではありません。
──まだ比較的新しい診療科なんですよね。
勝俣 日本だと、そうですね。日本で広がり始めたのは、2006年に制定された「がん対策基本法」以降です。日本以外の欧米の先進諸国では、1970年代から専門医制度が確立し、抗がん剤の治療を腫瘍内科医が行うのは当たり前です。開業している医師もたくさんいます。日本ではまだ腫瘍内科医が少ないので、外科医が抗がん剤の処方を担っていることが多いんです。
──でも、全国のがん専門病院やがん拠点病院には、腫瘍内科は必ず設置されていますよね。
勝俣 残念ながら、全部にはまだないんです。特に地方は腫瘍内科医が不足しているので、外科が代わりに抗がん剤を処方しているのが現状です。でも、専門家である腫瘍内科医以外が抗がん剤治療を行うのは、本当は怖いことなんですよ。