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「姪たちに心配かけんようにしたい」書き溜めたノートは5冊に…102歳で一人暮らしする女性の“終活”との向き合い方

「姪たちに心配かけんようにしたい」書き溜めたノートは5冊に…102歳で一人暮らしする女性の“終活”との向き合い方

『102歳、一人暮らし。哲代おばあちゃんの心も体もさびない生き方』より#2

source : ライフスタイル出版

genre : ライフ, ライフスタイル, 人生相談, ヘルス, 読書, 社会

note

「良英さんが寂しゅうないように、こっちで思うてあげてるからねって言いよるん」

 哲代おばあちゃんは見守る側でもあるのだ。

 倶会一処とは、倶にまた、お浄土で会えるというお釈迦さまの教え。哲代おばあちゃんは、良英さんとの再会シーンを思い描いては私たちに聞かせてくれる。

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「しわが増えてしもうたから。気付いてもらえんで素通りされたらどうしよう」

 肩を落とし、うつむいてみせる。

「いや、声で分かるかもしれん。大声で歌いながらいこうかしら」

 ひとり、くくくと笑う。

 

 つられて、こっちも笑ってしまう。死後の話なのに湿っぽさはなく、むしろ生き生きと想像の翼を広げる哲代おばあちゃん。円熟した人が放つ、穏やかな輝きを感じる。死は怖いことではなく、生きることの延長にあるのだと教えてくれる。

「向こうに、ええ人がいたりして」

 なんて、時にかわいく嫉妬したりする。5冊の「終活ノート」には書いていないが、「死に化粧は念入りにしてね」と姪たちに伝えているという。

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。

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