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なぜ「デビルマン」の映像化は失敗続きなのか?

サブカルスナイパー・小石輝の「サバイバルのための教養」

2018/02/22

 Netflixで配信中の「DEVILMAN crybaby」。アニメに衝撃を受けた小石輝は、「デビルマン」のルーツを探るべく、国会図書館にこもって原作漫画「デビルマン」が連載されていた1972年〜1973年当時の週刊少年マガジンを読破しました。そこでつかんだ「デビルマンのリメークを成功させる条件」とは何なのでしょうか。

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丸々3日間、国会図書館にこもって「デビルマン」を読破

恋ちゃん(大手マスコミの元気な若手社員)「小石さん、しばらく社内で見かけませんでしたね。風邪でも引いていたんですか?」

小石輝(恋ちゃんの先輩で、重度のこじらせオタク)「いやー。Netflixで配信中の『DEVILMAN crybaby』を観ていたら、デビルマンについてあれやこれや考え始めて、止まらなくなってしもうてなあ。デビルマンの原点を探るべく、国会図書館に行って、漫画版『デビルマン』が連載されていた1972年〜1973年当時の週刊少年マガジンを読みふけっていたんよ。丸々3日間、国会図書館にこもりっきりやったわ」

(注:「デビルマン」には1972年7月から放映されたテレビアニメ版と、永井豪がほぼ同時期に連載した漫画版という、まったく異なる2つのバージョンがある。『crybaby』の原作となったのは漫画版の方)

国立国会図書館 ©文藝春秋

「あきれた。その間、ずーっと仕事さぼっていたんですか!?」

「『外で取材しています』という一言さえあれば、どこで何していようと文句を言われんのが、オレらの仕事のええ所や。ウシシ」

「そんなことだから、50歳を過ぎてもヒラ社員のままなんですよ」

「(……ウウ、言ってはいけないことを)。まじめな勤務態度なんて、クソの役にも立たんわ。己の関心の赴くままに自由に動いてこそ、世のため人のためになるクリエイティブな情報発信ができるってもんや」

「(相変わらず口の減らない人だ)。で、何か収穫はあったんですか」

伝説的傑作のリメーク成功例とは

「もちろん! 8歳~9歳の時に漫画版『デビルマン』をほぼリアルタイムで読んで、一生消えないトラウマを受けたオレにとっても、目からウロコの新発見が続出やったわ。やっぱり『現場』を当たるのは、記者の基本やな。ところで、君は『crybaby』は観た?」

不動明がデーモンと合体し、デビルマンになる直前の回。「よだれ」を垂らすヒーローは多分、空前絶後だろう(「週刊少年マガジン」1972年8月6日号扉絵)

「ええ。愛読しているブログの筆者が誉めていましたからね。だけど、実際に観てみると、登場人物にどう感情移入していいのか分からなくなって、全10話のうち半分ぐらいでやめちゃいましたねえ。ただ、作り手が自由にやっている感じは伝わってきましたよ」

「原作の漫画版『デビルマン』は伝説的傑作とはいえ、半世紀近く前の『古典』やからな。下手に原作に忠実にやろうとするよりは、思い切って自由にやる方がええとはオレも思う。ただし、リメークで肝心なのは、原作の一体何が『絶対に抑えておくべき本質』であり、どこが『時代に合わせて大胆にアップデートした方がよいところ』なのか、という見極めをしっかりつけることや。その成功例が、1954年の初代『ゴジラ』のリメークとも言える2016年の『シン・ゴジラ』やな」