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まるで経営者 DeNA・筒香嘉智の知られざるリーダーシップ

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/03/30

 2018年のプロ野球が開幕しますね。ベイスターズファンにとっては、今年ほど「優勝」という言葉が夢ではなく、現実のものとして見えている年はないんじゃないでしょうか。

 昨年のベイスターズは、これまでのベイスターズと、これからのベイスターズを分ける年でした。思えば、昨シーズンはWBCから始まりましたね。我らがハマの4番筒香は日本代表の4番に成長し、見事にその役目を果たしました。シーズンに入れば、ルーキー濵口の大活躍を筆頭に、ロペスが打点王。僕の同級生では、宮﨑が首位打者、梶谷が三振王(カジ!)と、どこを取っても話題に事欠かないチームでした。そうそう、昔、二軍の試合で僕が忘れ物をしたんですね。確か、ユニフォーム。その時、僕はものすごく焦っていたんですが、カジが、「まっ、忘れたもんはしょうがないっしょ。そんなん、気にしても仕方なくね?」と、ものすごくアッサリ励ましてくれました。何が言いたいかというと、カジは昔から小さいことを気にしない男、ということです。

日本代表の4番に成長した筒香 ©文藝春秋

なぜベイスターズはいきなり強くなったのか

 さて、昨年の話をするなら、もはや伝説となった8月22日カープ戦。筒香、ロペス、宮﨑の史上初三者連続ホームランでサヨナラ勝ち。そこからの3戦連続サヨナラ勝ちの精神的ダメージは、のちのクライマックスファイナルに大きな影響を与えたと思っています。泥んこ1stステージ、下克上ファイナルステージを経て、最強ホークスとの戦いは、2勝4敗という成績に終わりました。

 日本シリーズまで進んだものの、チームとしては慢心するどころか、「悔しさ」を残したようなシーズンにさえ見えるのは、筒香がずっと口にしてきた、「ペナントレース優勝が最大の目標」という言葉にあるように、3位からの日本シリーズに納得してないという雰囲気がヒシヒシと伝わってくるからです。チーム成績だけではなく、観客動員は史上最多の約198万人を記録。スタジアムの稼働率は驚異の96.2%。ファンクラブ会員は約87,000人。これは、2011年の13.6倍。球団がDeNAに変わり、改革を行ってきたことの結果としては、非常に価値のある年だったのではないでしょうか。

(ベイスターズ以外の出来事では、個人的には8月11日のカープ対ジャイアンツ戦で、交通渋滞によりユニフォームが届かず、試合開始が30分遅れるという出来事が一番面白かった。去年ジャイアンツで一番三振を記録したマギーも、”Do not mind small things.”と言っていたことでしょう)

「去年のことはいいから、今年の話をしろ!」と、そろそろお思いの読者の方もいらっしゃるでしょう。そんな貴方は、昨年辛酸を舐めさせられたカープファンですね(安心してください。僕は何かの公式プロフィールで、カープファンと書いて注意を受けた過去を持っています。そして、プロ野球人生唯一のヒットはカープ戦です)。長らく停滞していたベイスターズファンにとって、1998年の話と2017年の話は、桐箱に入れて末代まで保管したいくらい大切な話なのです。しかし、プロ野球が開幕する今、昨年の話で気持ちよくなるのはここまでにしておきましょう。

 と、今年の話をする上で、どうしても伝えておきたいことがあります。

「なぜベイスターズはいきなり強くなったのか?」

 ということです。低迷期を脱出することは、並大抵のエネルギーではありません。そのことに、最も貢献した人物のことを、忘れてはいないでしょうか?

 筒香嘉智。

 いや、わかります。「そんなの、当たり前だろ!」と思った方。そんな貴方は、2014年以降のベイスターズファンですね。