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京都・西本願寺で始める終活……。人生を穏やかに過ごすための「法名」という選択肢

京都・西本願寺で始める終活……。人生を穏やかに過ごすための「法名」という選択肢

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(左)本願寺 参拝教化部 課長 副田智子さん (右)本願寺 責任役員 執行 尾井貴童さん
(左)本願寺 参拝教化部 課長 副田智子さん (右)本願寺 責任役員 執行 尾井貴童さん

終活で法名や戒名をどうするかと考える人は多いが、その意味を正しく知っているだろうか。浄土真宗本願寺派の本山である西本願寺で、法名や院号についてお話を伺った。

――浄土真宗とはどんな宗派でしょうか。

尾井 浄土真宗は親鸞聖人によって鎌倉時代に開かれた宗派です。戦乱や疫病によって多くの人が苦しんでいた時代に、親鸞聖人は、すべての人々をかけがえのない尊いいのち」と大切にみてくださる阿弥陀さまという仏さまと出会いました。厳しい修行に耐えられない弱い人間であっても、阿弥陀さまは「あなたのままで大丈夫」と居場所となってくださいます。そんな阿弥陀さまのよび声が私の声に現れたものが「南無阿弥陀仏」というお念仏です。浄土真宗ではお念仏を(とな)え、聞くことをとても大切にしています。

――法名にはどんな意味があるのですか。

尾井 法名とは、仏弟子に与えられる名前です。主に西本願寺で行われる帰敬式(おかみそり)を受けると、本願寺の住職(ご門主)から「(しゃく)〇〇」という法名が授与されます。他宗では厳格な戒律を守って修業する人へ戒名が授けられますが、自力修行が必要のない浄土真宗では法名といいます。法名を受けることは、阿弥陀さまの教えを知り、生き方を見つめ直す出発点になります。

――法名は死後にもらう名前というイメージがありました。生前に付けられるのですか?

尾井 法名とは本来は生きているうちにいただくものです。法名をいただくということは、仏の教えを心の中心に据え、迷い苦しんだときに自らの生き方に反映させていくという誓いでもあります。ただし帰敬式を受けずに亡くなった場合には、所属寺のご住職から法名を受けられます。

――院号と法名は違うのでしょうか。

尾井 院号は浄土真宗の発展に特に貢献してくださった方々などにお渡ししています。例えばお寺の門徒総代を20年以上担ってくださった方や、西本願寺に永代経(えいたいきょう)※懇志(20万円以上)をご進納された方などがその対象です。お金を払えば院号が買えるという誤解がありますが、大切なのは、阿弥陀さまを思い行動すること。宗門への真摯な思いがあるからこそ、末代まで伝え残される院号に意味があるのです。院号も生前にいただくことができます。

※永代経とは、お念仏のみ教えが永代に受け継がれていくためのものです。

――法名は人生でどんな役割を持つと思いますか。

尾井 物質的に豊かになっても、生きづらさや孤独から解放されることはありません。だからこそ、絶対の救いである阿弥陀さまという心のよりどころを持つことが、生きていくうえでの力になります。西本願寺では一部の法要のある日を除いて、毎日帰敬式を行なっています。ぜひ、気軽にお立ち寄りください。

「決して一人ではない」と気付き、生活が変わった
夫はがんの告知を受けてから苦しみ、周りに当たることもありましたが、法名を見つめ「決して一人ではない」と気付いたころから生活が落ち着き始めました。亡くなる2週間前には「自分の苦しみをわかってくれる人がいるとき、死を前にしても穏やかになれると知りました。ありがとう」と言葉を残してくれました。
(生前に法名を受けた男性のご家族)

お問い合わせ
本願寺参拝教化部
〒600-8501 京都市下京区堀川通花屋町下ル
TEL:075-371-5181(代表)
TEL:075-371-3738(直通)
お西さんHP「帰敬式」
西本願寺(浄土真宗本願寺派)

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