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肝胆膵がんは病院選びが命を救うこともある――「症例数」と「技術力」がポイント

2018/09/06

 他のがんもそうだが、とくに肝胆膵がんの高難度手術を受ける場合には、慎重に病院選びをしたほうがいい。なぜなら、病院選びが生死を分ける可能性もあるからだ。

 実際に、肝胆膵がんは施設によって生存率、合併症率、術死率といった成績に差があることが知られている。それを見極めるポイントの一つが「症例数」だ。たとえば、日本膵臓学会が作成した『科学的根拠に基づく膵癌診療ガイドライン2013年版』には、こう書かれている。

「膵頭十二指腸切除など膵癌に対する外科切除術では、手術症例数が一定以上ある専門医のいる施設では合併症が少ない傾向があり、合併症発生後の管理も優れている」

©iStock.com

 この「手術症例数が一定以上ある専門医のいる施設」のことを、医学用語で「ハイボリュームセンター(High Volume Center)」という。何例以上がそう言えるのか定義は定まっていないが、複数の研究から膵がん手術では年20例以上、肝胆膵がん手術全体では年50例以上とされることが多い。

かつては膵がんの手術が年数例という病院も

 このように、症例数によって格差があることを示すデータがあるにもかかわらず、日本では全国の多くの病院で肝胆膵がんの高難度手術を実施しており、かつては膵がんの手術が年数例という病院もたくさんあった。

 外科医の間でもこれを憂慮する声があり、難しい肝胆膵がん手術が必要な患者は特定の病院に集約すべきだという議論が学会でも起こった。そこで2008年に設けられたのが、日本肝胆膵外科学会の「高度技能専門医制度」だった。

 この制度は、「高難度肝胆膵外科手術をより安全に、かつ確実に行うことができる外科医を育てること」を趣旨としている(同学会ホームページより)。この資格を取得するためには、高度技能指導医のもとハイボリュームセンターと呼べる修練施設で、高難度肝胆膵外科手術を50例以上執刀しなければいけないことになっている。

 つまり、病院側からすると高度技能専門医を育てる「修練施設」になるためには、一定数以上(年50例または30例以上)の高難度肝胆膵外科手術を実施するハイボリュームセンターになる必要がある。これによって学会の目論見通り、肝胆膵外科手術を手がける病院の集約化はかなり進んだ。

 患者側も肝胆膵外科手術を受ける場合には、同学会の高度技能専門医または指導医がいる修練施設かどうかを確かめたほうがいいだろう。

 ただし、肝胆膵がんの手術で何人もの患者が亡くなった群馬大学病院と千葉県がんセンターも同学会の修練施設だった(2015年4月に同学会が両施設の資格を取り消し)。したがって、この資格を持っていることは、あくまで「最低限」の条件だと考えてほしい。