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ライオンズの強さの秘訣は「捕手3人体制」にあり?

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/05/09
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控えに回った捕手にも変化が

 先発投手別のスタメンマスクは、菊池雄星→炭谷6試合、多和田真三郎→森6試合、ファビオ・カスティーヨ→森5試合、ブライアン・ウルフ→炭谷3試合、榎田大樹→炭谷3試合、高木勇人→岡田2試合とここまでは固定されている。唯一代わっているのが十亀剣の時で、森3試合、岡田2試合となっている。投手との相性もあるだろう。打者への攻め方、サインの出し方、ミットの構え方、返球のリズムなど様々だが、ベンチとの話し合いも十分行われていての起用だ。

 昨季は森がシーズン前に死球で骨折したため、復帰は夏場になってしまったので主に炭谷と岡田がマスクをかぶっていた。スタメンは秋元宏作バッテリーコーチがアイデアを出し辻監督が決めるのだが、ここまでの戦いぶり、投手陣の成績をみると完璧な捕手起用といえる。試合中、控えに回った捕手の目の動きも違ったものになると思う。まあ、プロなので手抜きはないだろうが、控えに固定されると、見る目も控え的になってしまうといえなくもない。先発投手の順番で、自分のスタメンの出番も分かる。なので、同一カードの時などなおさらベンチから見る真剣度も高くなるのではないか。

正捕手のイメージが強い炭谷 提供/中川充四郎

 かつての西武の黄金期は伊東が固定されていた。しかし、球団フロントは伊東への刺激策として捕手のトレードも行った。1989年のオフには中日から大宮龍男を、92年のシーズン途中に巨人から中尾孝義を、98年のシーズン前にはFAでオリックスから中嶋聡を獲得し、捕手の活性化を求めた。しかし、今の西武はチーム内で3人が競争し、レベルアップを計っているので外からの補強はまったく不要だ。他チームからはうらやましいであろう今の西武捕手陣。

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 はじめに書いた“つなぎ野球”といえば打線のイメージだが、西武の場合は首脳陣の考えで投手陣にも浸透している。これは、走者を残してマウンドを降りる投手は、次の投手がマウンドに上がるまでそのまま待機して、年上ならば「よろしくお願いします」、同期、年下ならば「頼むよ」と一声かけてベンチに戻ること。交代を告げられてスタスタとマウンドを降りるより、これはお互いの信頼感にもつながる。良い事は、他チームもどんどんマネしてもらいたい。

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