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富山出身のロッテ・石川歩 緻密で幸せな“凱旋登板プロジェクト”

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/05/24
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子供の頃から見ていた立山連峰を背に

 敗れはしたが、地元投手の先発登板に富山は盛り上がった。富山限定グッズは飛ぶように売れ、予想売上の1.5倍となった。平日にも関わらず1万41人の観客が訪れ開場前から長蛇の列を作った。特筆すべきは関東などからも1000人近いファンが駆け付けてくれたことだ。地域交流を行い本拠地ZOZOマリンスタジアムとはまた違う雰囲気を醸し出していた。地方開催ならではの醍醐味だ。そして球場スタンドのどこからでも立山連峰の雄大な姿を見ることも出来た。

立山連峰を望むことができる富山市民球場アルペンスタジアム ©梶原記章

「子供の頃からずっと見て育ちました。だから、立山連峰がある環境は当たり前だった。富山を離れて、帰省をしたときにその存在感に気付かされたのです。本当に素晴らしい景色です。そんな子供の時から見守ってもらっている立山連峰を背に公式戦で投げる。勝つのがもちろん一番ですが、自分にとってはとても意義深いことだったと思います」

 石川はそう話すと試合翌日、朝一番の新幹線に乗り、帰京した。地元でゆっくりしたいという想いはもちろんあるが、叶わなかった凱旋白星の悔しさを次回登板に向けるべく今は練習を優先する。帰り際、車窓から雄大な山々が見えた。次、富山に戻るのはシーズンオフ。胸を張って帰れる成績を残すべく必死の日々を続ける。そしてこの富山開催のためにプロジェクトチームを立ち上げ、約1年間をかけて千葉と富山の行き来を繰り返し、この日を迎えた大勢の球団職員も千葉へと戻っていった。わずか二泊三日。敗れはしたが濃く深い富山での日々を千葉ロッテマリーンズは過ごした。

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梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)

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