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ロッテの名物ウグイス嬢・谷保恵美さん 1500試合連続を後押しした祖母の言葉

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/06/21
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名物ウグイス嬢の後継者に相応しい人物とは?

 05年からはウグイス嬢兼広報への就任を球団から指示された。マスコミ対応や情報発信など畑違いの仕事に、どのように取り組めばいいか想像もつかなかった。戸惑っていた時、想い出したのは祖母の言葉だった。「なんでもやってみなさい」。その言葉を思い出し背中を押されたような気持になった。それからも幾度と新たな任務を会社から言い渡される転機はあったが、いつも勇気をもって前向きに取り組むことができた。すべては祖母の言葉が後押ししてくれた。

 疲れている時、体調がすぐれない時、プライベートで嫌な事があった時。どんな時もいつもアナウンス席に笑顔で座る。試合前のスタメン発表直前に谷保さんが行っている儀式がある。それは北海道から1人、ウグイス嬢を目指して上京した時の気持ちを思い出す作業。母からは「2年でダメだったら北海道に帰ってきなさい」と送り出され、初めてマイクの前に座った初心。そして自分につぶやく。「今日もありがとうございます。精一杯、頑張ります」。深呼吸をして自分にスイッチを入れるとスタンドのファンに変わらぬ美声をいつも届ける。

 まだ先の話だが名物ウグイス嬢の後継者はどうなるのだろうか? 本人にどのような人物が適任かを聞いてみた。「基本としては野球のルールはしっかりと知っていた方がいいと思います。野球を好きな子がやってくれるのが嬉しい。上手に声を出せるというよりは好きな気持ちが声に出るような、そういう人にやってもらいたいと思いますね」。そう言ってほほ笑んだ。いかにも谷保さんらしい答えだった。いつの日か世代交代の日は来るのだろう。ただ今はまだZOZOマリンスタジアム名物の声を聞いて安心をしたい。これからも心の声をファンに届けて欲しい。

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梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)

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