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年収800万以上の中堅サラリーマンはなぜ騙されたのか

スマートデイズ経営破綻──サブリース事業にみる「甘えの構造」

2018/06/05

 2018年4月、女性専用のシェアハウス「かぼちゃの馬車」事業を行っているスマートデイズが経営破綻した。この会社は首都圏を中心とした女性専用のシェアハウスを投資用不動産として、販売、運営を行っていたもので、約700名の投資家に約800棟1万室を販売していたという。

 仕組みはいたって簡単だ。スマートデイズは投資家向けにシェアハウスが建設可能な土地を探し出し、これに建設業者を使ってシェアハウスを建築させ、投資用不動産として投資家に販売する。さらに投資家に購入させたシェアハウスの床を一括で借り上げ、シェアハウス事業で計上した収益から一定の手数料を差し引いたうえで賃料を支払うというものだ。所謂サブリース事業というやつだ。

スマートデイズが「かぼちゃの馬車」の名称で手掛けていた豊島区のシェアハウス ©共同通信社

年収800万~1000万の中堅以上のサラリーマンが飛びついた

 その際、投資家の運用リスクを軽減するためにスマートデイズは賃料を保証し、投資資金をスルガ銀行との提携ローンで賄わせることで、誰でも気軽に不動産投資ができるように仕立て上げたのだ。

 利回りは8%という高利回り。保証は30年という長期。誰でもちょっと計算すれば多少巨額の借金を背負っても保証がある限りは借入金の返済は容易だし、不動産投資は運営に伴う諸費用を経費で落とせることから、年収が800万円から1000万円程度の中堅以上のサラリーマンが飛びついたというわけだ。

 ところが、この事業はいとも簡単に破綻する。あたりまえだ。都内で不動産事業を行っていれば誰にでもわかる話だが、現在の都内の新築不動産で「利回り8%」で廻る物件などほぼ存在しないことは常識だ。「かぼちゃの馬車」は女性専用のシェアハウスだが、そもそもシェアハウスは普通のアパートや賃貸マンションには経済的な理由などで入居できない人たちが、台所、居間、風呂、トイレなどをシェアすることで家賃を浮かせて住もうというものだ。賃料負担力のないテナントを多人数一緒にさせることで収益を上げていくビジネスだから、よほどテナント集めに苦労しないところでなければ成り立たない。

ありえない利回りを謳った「はりぼて」の商品

 この「ありえない」利回りを実現するために、スマートデイズは新築シェアハウスを建築見積費よりも高い金額で発注し、業者から多額のバックマージンをもらい、この一部を保証賃料に充当していたのだ。また投資家に対してはテナントである女性からもらう家賃のみならず、ターゲットである地方から東京に出てきた女性の就職を斡旋することで収受する手数料も投資家の収益に充当することで「高利回り」であることを謳っていたのだ。すべてが「はりぼて」の商品構成である。

 あたりまえだが、新規販売が順調なうちはなんとか成立する事業も、回転が止まったとたんに破綻する。現在はこの不動産投資に積極的にかかわり、債務返済能力が不十分な投資家に対してどこかの役所のように審査書類等を改竄してまで応じたスルガ銀行が批判の矢面に立たされている。