TBSラジオの番組『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル(通称『タマフル』)』が今年の3月31日、11年の歴史に幕を下ろし、新番組『アフター6ジャンクション』が始まって早2カ月。ライムスター宇多丸、エッセイストでイラストレーターのしまおまほ、構成作家の古川耕による「『タマフル』鼎談」第2回の後編では、ラジオに出て変わったこと、新番組が始まる前の心境の変化について語る。(#2 前編からつづく)

(左から)古川耕さん、宇多丸さん、しまおまほさん

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ラジオに出て変わったこと

古川 しまおさん、ラジオに出て変わったことってありますか? たとえばラジオの聴き方が変わった、とか。

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しまお 聴き方は全然変わらないです。なんですかねぇ。いや、あんまり変わらないんじゃないかな。宇多丸さんは変わりました?

宇多丸 やっぱり勉強目線の聴き方になった感じはありますよね。特にやっぱり神田松之丞さんとか、しゃべり手としてうまいとされる人とか出てくると、一応聴くじゃないですか。そうすると、やっぱり面白いから。「あ、これ面白い。絶対この人面白い」って感じで。そうすると、「もう聴きたくない!」っていう。「クソ! 面白え! 聴きたくない!」っていう。

 

しまお 分かる。

古川 分かる?

しまお うん。つまんないといいなって思う。

宇多丸 どの目線?

しまお 例えばキョンキョンとかがさ……キョンキョンとかが文章を書いたりして、それをサラッと読むことがあったりすると、「つまんないといいな。これでうまいことされちゃうと……」って思っちゃう。

宇多丸 まあ、分かる気もします。

古川 臨戦態勢ですね。

しまお 私、努力しないのにライバル視したりするからいけないんですよ。

古川 すげえこと言ってるな。

宇多丸 でも、分かります。もちろん、もちろん。

古川 分かりますよ。みんなそうでしょう。

宇多丸 ほんとほんと。

しまお そうかな。

宇多丸 だから、「神田松之丞さん、ちくしょー!」って思うし。伊集院(光)さんとかになるとさすがにもうなんとも思わないけど。だから、やっぱり新しい人が番組始めて、それが「面白いです」なんて言われると、「ちくしょー!」って。

古川 まあ、人間誰しもあるでしょう、それは。

宇多丸 そんなの普通ですよ。普通普通。

しまお でも、ラジオに出てて、自分が変わったっていうわけじゃないけど、やっぱり聴いてくれてる人がいるのは励みになるっていうか。他の仕事も見てくれるようになるし。いつも出てるっていうのはすごい大事なんだなと思いますね。

 

宇多丸 ああ。ビックリするぐらいいろんなところで聴いてくれてますよね。

古川 確かに。

宇多丸 それこそ「宇多丸さんきっかけで映画を見るようになりました」みたいなこと言われたりとか。

しまお 私も、「まほ」っていう名前を子どもにつけたって言われて、すごい責任感じました。

古川 え~!

宇多丸 オレも実はその手の話ある。

古川 すごいですよねぇ……。びっくりするぐらいいろんな人が聴いてくれているし、覚えてもらってるし。

宇多丸 『ウィークエンド・シャッフル』最終回の「ベストモーメント」、楽しみなんですけどね。この間チラッとメール見たら、全然覚えてない場面なんだけど、でも、僕が言ったこととか「あ、面白いこと言うな」「うまいこと言うな」って思っちゃったし。こっちは全然覚えてないんだけど。

しまお 楽しみですね。でも、なんかサラッと終わっちゃいそうな気もして寂しい。

宇多丸 2時間なんかあっという間ですからね。

しまお ねえ。

宇多丸 やっぱり今週*の映画評やめようか?(*最終回の3月31日放送)

古川 やったほうがいいでしょう。『リメンバー・ミー』が最後なんてなかなかいいじゃないですか。

宇多丸 そんなに言うことないですよ。