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「夏の甲子園」強行で思い出す、亡霊のような日本企業の“精神主義”

経済ジャーナリストからの提言

2018/07/30

 いきなり私事で恐縮だが、地元の千葉県流山市で16年ほど、ボランティアで少年サッカーのコーチをしている。今年から、毎週末の練習を15時~18時に変更した。これまでの13時~17時は「危険」と判断したからだ。

©iStock.com

現場感覚で「これは危ない」

 帽子を被る。10分に1回は飲水・休憩タイムを入れるなど、暑さ対策はこれまでもしてきたが、今年の暑さは尋常ではない。練習中に必ず何人か、気分が悪くなる子供がいる。現場感覚で「これは危ない」と思った。15時を過ぎると日が傾いてグランドの隅っこに木陰ができる。前半はそこで基礎練習。グランド全面を使うのは気温が下がる16時以降だ。

 ちなみに7月15日に開催された流山市の少年サッカー市内大会は正午の段階でグランドの気温が35度を超えたため、準決勝が終わった段階で中断した。決勝戦は秋以降に延期である。日本サッカー協会から「グランドレベルで気温が35度を超えたら練習・試合は中止」と通達が出ている。

アルプススタンドも炎天下に ©共同通信社

「草サッカーのコーチ風情が」と言われることを覚悟の上で、提言する。

「夏の甲子園」は中止すべきだ。

 マウンドの体感温度は40度を超えるだろう。アルプススタンドの気温も尋常ではない。太陽が真上から照りつける時間に、2時間以上も運動や応援をさせるのが「教育」なのだろうか。いつ犠牲者が出てもおかしくない。

気象庁が「災害」と認定した炎天下の中で

 そもそも「甲子園」にたどり着く段階で、選手のコンディションはボロボロである。千葉県(東千葉)の大会は7月11日に始まり、25日が決勝戦である。ノンシードから優勝するには7試合、シード校でも6試合を戦わなくてはならない。100周年の記念大会に当たる今年は千葉県から2校出場できるが、通常はこれより1試合多い。投手は2週間で最大8試合、つまり中2日より短い間隔で連投することになる。

 体が出来上がったプロ野球ですら、先発投手の登板間隔は通常、中6日である。激しい投球モーションを繰り返す投手の肩や腕の毛細血管は1試合でズタズタに切れ、修復に3日以上かかるからだ。そういう科学的な根拠があるにも関わらず、発育途中の高校生には中2日で投げさせるのはおかしい。

 地区予選で体を酷使してきた選手たちが、1年の一番暑い時期、今年に限っていえば気象庁が「災害」と認定した炎天下の中で、戦うのである。いつ、何が起きてもおかしくない危険な状況だ。

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