「今の日本は、日本軍と反日軍の内戦状態にある」

 ドラゴンクエストの作曲家・すぎやまこういちは、2011年5月、靖国神社崇敬奉賛会の講演会で「非常に漫画チックな言い方」と断ったうえでこのような見解を披露し、さらに発言を続けた。

「なんと、政府、内閣を反日軍が占めているのです。聞くところによりますと、今の内閣総理大臣を始め、かなりの主要な人達が、日本国家解体を学生時代に夢見て学生運動を行っていたと言われています。(中略)

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 この反日軍の人達が大震災を足掛かりにして、どさくさに紛れて日本国家を解体しようという動きをしているように見えます。そのことに大変な危機感を持っていまして、何とかこれを防がなければいけないと思っています」(『平成二十三年度 講演記録集』、靖国神社崇敬奉賛会)

すぎやまこういち ©時事通信社

安倍晋三、西田昌司、稲田朋美らは「日本軍」

 当時は東日本大震災の直後で、民主党政権の時代だった。つまり、すぎやまは、菅直人元首相らが「反日軍」として国家解体を目論んでいる(ように見える)、といっているのだ。

 ちなみに、すぎやまが「日本軍」「反日軍」の比喩を使ったのは、これがはじめてではない。震災前に刊行された『正論』2011年1月号の寄稿では、「日本軍」のメンバーとして、安倍晋三、西田昌司、稲田朋美、高市早苗、衛藤晟一、山谷えり子の名前があげられている。

 これにたいし、当時の総裁・谷垣禎一は失格らしく、「ため息が出てしまう」とされている(「谷垣禎一総裁へ捧げる退場勧告」)。