昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

元町・中華街から2時間! 副都心線でよく見る“終点”「森林公園駅」には何がある?

はたして駅前に“森林公園”はあるのか

2018/10/01

genre : ライフ, 社会,

 首都圏の鉄道、特に私鉄や地下鉄はすっかり“直通運転”だらけになった。都心部の山手線内部に地下鉄を挟んで、郊外区間はそれぞれ別の会社の私鉄路線として走るというパターンだ。おかげで、朝の通勤などでは乗り換え無しで都心部までアクセスできるから、実に便利である。ところが、気をつけておかないと思わぬ悲劇にも見舞われる。なにしろいつも利用している最寄り路線も地下鉄を経て別の私鉄に乗り入れて、聞いたこともないような駅まで走っていってしまうのだ。万が一にも乗り過ごしてしまった日には、ただただ絶望が待っているだけである。

「きっと駅前には木々の生い茂る公園があるんでしょうね」

 というわけで、そんな絶望の終着駅シリーズ。今回は、東武東上線の森林公園駅に行ってみた。東武東上線は地下鉄副都心線を挟んで東急東横線、そしてみなとみらい線に直通する。この区間の最ロングラン列車は、元町・中華街~森林公園間。その距離は88.6km、所要時間にして約1時間50分である。で、片方の元町・中華街駅は、わざわざ訪れなくてもどんな駅なのか想像がつく。駅名の通り横浜の中華街にほど近く、山下公園などの観光スポットも多いところだ。もし乗り過ごして元町・中華街に来てしまっても、なんとかなりそうである。

日本最大のチャイナタウンとして栄える「横浜中華街」。500以上の店舗がひしめきあう。果たして“反対側”の森林公園駅にはなにがあるのだろうか…… ©iStock.com

 ところが、一方の森林公園駅だ。ハッキリ言って、地元住民でもなければどんな駅なのかイメージも湧かない。せいぜい、「きっと駅前には木々の茂る公園があるんでしょうね」ぐらいなものだろう。それだって駅名から連想しただけのことで実際はよくわからない。地図で改めて確認すると、その場所はなんと小江戸・川越よりもはるか先。距離的なイメージで言えば、ほとんど熊谷とか秩父に近いのだ。

いざ元町・中華街駅から2時間弱の旅へ

元町・中華街から北に90km弱。川越よりもはるか先の森林公園へ。3都県にまたがる縦に長い路線図 ©鼠入昌史

 果たして森林公園駅、どんな駅なのか。せっかくなので、みなとみらい線の元町・中華街駅から森林公園駅を目指して2時間弱の列車の旅をすることにした。乗り込むのは特急「Fライナー」。特急と言っても特別料金を払う必要なく、それどころか副都心線に入る渋谷駅から終点までは急行に様変わりするから、不慣れな人にとってはややこしい。朝夕の通勤時間帯を除く日中に運転されていて、毎時4本が走る。うち2本が東武東上線直通の森林公園行で、残り2本が西武池袋線に直通する。ちなみに、「Fライナー」の名前の由来は「Fast」「Five」(副都心線・東横線・みなとみらい線・西武池袋線・東武東上線の5路線のことらしい)「Fukutoshin」の頭文字を頂いたものだとか。

 さて、元町・中華街駅は始発駅なのでもちろん座ることができる。しばらくは地下を走るので車窓を楽しむでもなく、気がつけばうとうと。お尻に痛みを感じて目を覚ましたら、まだ列車は渋谷駅手前を走っていた。元町・中華街~渋谷は約35分である。渋谷から和光市駅までは副都心線を経由する。途中の新宿三丁目駅や池袋駅では乗客の乗り降りも多いが、東武東上線に入る和光市駅から先はだんだん乗客も減ってゆく。川越を過ぎたあたりでは車内はすっかり閑散。1車両あたりの乗客が4、5人程度になったところで、終点の森林公園駅に到着した。きっとこの列車の中に、始発から終点まで乗り通した客は筆者だけだ……。

この記事の画像