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オリックス・塚原頌平はその翼を広げ、もう一度飛躍するか

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/10/17
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ふたたび飛躍した翼は、その後……

 2015年に不死鳥のような復活を見せたその右腕は、その年41試合に登板。2016年にはセットアッパーとしてチームの窮地を幾度も救った。オールスターへの出場も果たし、再度プロ野球の世界の真ん中に躍り出た。しかし余りに脆く、そして余りに儚い人間の翼ではそれも満身創痍の飛躍だったのかもしれない。気が付けばその翼もボロボロに傷つき、再び飛躍の力を失ってしまった。右肘痛の再発。2度目の手術。3度目の飛躍は難しいのだろうか。ついに2018年10月、その時が訪れる。オリックス球団は塚原頌平を含め、7選手に戦力外を通告した。

 そんな塚原が翼の傷を癒す為に選んだ場所、それは育成選手契約という紺碧の海に臨む断崖だった。それでも、その翼が再び傷を癒し3度目の飛躍を迎える事を、我々は信じている。「もう一度1軍の舞台で投げる事を目標に、死に物狂いで頑張ります。」そう語る彼の背中には、何度傷ついても再び大きく広がる両の翼がある事を我々はよく知っているのだから。

 この大空に翼を広げ 飛んで行きたいよ 悲しみのない自由な空へ 翼はためかせ 行きたい

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 今の自分はやはり、この曲の歌詞を良いとは思わない。何故なら我々人間は、悲しみのない空などない事をよく知っているからだ。それでも人は皆、その背中に大きな両の翼を持って生まれて来た。何度傷つこうと、何度でもシーンの真ん中に躍り出る、そんな塚原頌平の翼のような、くじけない強く逞しい翼を。

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