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タミヤ会長が振り返る「テレビゲーム時代になぜミニ四駆が流行ったのか」

2019年の論点100

2019/01/13
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ミニ四駆が子どもたちにウケた理由

 そして出来上がったのがミニ四駆でした。ミニ四駆はモーターを搭載した四輪駆動の自動車のプラモデルで、単3乾電池を内蔵して走らせるというシンプルな構造です。これも何度も試行錯誤を繰り返し、数年後に子どもたちに受け入れられるようになりました。子どもたちは、自分の手で作ったものがモーターで走ることに大きな喜びを感じるのです。そして子ども同士で競争できることに大変興味を持ちました。

 ミニ四駆を作るには切る、削る、孔を開けるといった基本的な工作の過程がすべて含まれています。子どもたちはミニ四駆を作る中で、カッターやドライバーやドリルなどの工具の使い方をマスターしていきます。さらに自分で考えて改造し、性能を上げていくといった、説明書にはない過程もあります。

©共同通信社

 ミニ四駆の最初のブームは昭和の終りから平成2年くらいでした。次に平成8年から10年くらいにも大きな波が来ました。最近では常時安定して売れるシリーズとなりました。というのは、東南アジアの国でも大流行しているからです。

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 弊社では毎週といっていいくらい、ミニ四駆のレース大会を開催しています。そこに行くと、子どもたちが自分で考え工夫して、0.1秒でも早く走らせようとする。ときには大人では考え付かないようなアイデアもあります。やはり子どもは遊びの天才だなと思います。

 その際に会場に家族ぐるみでやってきて、チューンナップしている親子をよく見かけます。私たちは子どもに売れる商品ということで、ミニ四駆を開発したつもりだったのですが、大人も夢中になっている。図らずもファミリーで遊ぶものに発展していたのです。これは新鮮な発見でした。こういった楽しさが、デジタルの時代にアナログなプラモデル(=ミニ四駆)を流行らせているのです。