“危機察知能力”をもつスイス・フランに注目せよ!
2024年3月19日、日銀は金融政策決定会合で「マイナス金利政策」を解除、実に17年ぶりの利上げに踏み切りました。
経済の教科書的には、「利上げ」をすれば「円高」になるとされます。ところが、今回は「利上げ」をきっかけに「円安」が進みました。
市場参加者の多くは「152円」を政府・日銀の“防衛ライン”と見ていました。実際、「152円」が目前に迫ると、かなり踏み込んだ表現で「口先介入」が行われ、3月27日には、財務省、金融庁、日銀による「情報交換会合」(3者会合)も開催されました。しかし4月に入り、“防衛ライン”だったはずの「152円」は突破されました。
“実弾”である「為替介入」もないままでは、市場の特性として、もう一段の円安を試しにいくこととなります。4月16日には、一時1ドル=154円79銭と、1990年6月以来およそ34年ぶりの安値をつけました。
このまま円安容認となれば、「160円台前半」、そこを越えるとさらに「170円台後半」までもが視野に入ってきます。
過度な円安は、日本の実体経済にマイナスに働きます。輸入価格の高騰、特に燃料、食料品などの生活必需品の価格上昇は、一般国民の生活を圧迫します。原材料や資源の調達費用の増加で生産コストが上昇すれば、国内企業の利益率にも影響を及ぼします。
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source : 文藝春秋 2024年6月号