先週号と今週号で、ゲラを読んだデスクや編集局長がみな感嘆の声を上げた記事があります。

 2号にわたって掲載した「セコマの『資本論』」。セコマは、北海道に根を張るコンビニチェーンで、コロナ禍でも売り上げを伸ばした唯一のコンビニです。なぜ、そんなことが可能だったのか、ライターの伊藤秀倫君がレポートしました。

 どうして、手練れのデスクや局長が唸ったのか。騙されたと思って、このメールの下に出てくる記事をクリックして、一度読んでみてください。

 異常に読みやすくなかったですか? 各4ページの原稿ですが、長さを全く感じさせず、スラスラ読める。でも、セコマの歴史がわかり、何が凄いのか、伝わってくる。加えて、セコマとライターの人生が絡みあって、このコロナ禍にみんなが何となく抱えている悩みやモヤモヤにも応えている。ヤバくないですか、このライター。

 実は、伊藤君は文藝春秋の一期後輩です。東大を出て、小社に入り、「Sports Graphic Number」や月刊「文藝春秋」、「週刊文春」編集部を渡り歩きました。「週刊文春」では、特集班の記者、デスク。私の編集長1年目は、グラビア班のデスクとして支えてくれました。その彼が、会社を辞めて、フリーライターになる。しかも、東京を離れて、生まれ故郷でもない、北海道に渡る。多くの人が慰留しました。でも、彼の意志は固かった。

 なぜ、伊藤君は会社を辞めたのか。その理由も、今回の原稿に書いてあります。「週刊文春」では、決してイケイケではないのに、その有り余る才能と、誰にも愛される人間性で、見事に仕事をこなしていました。編集者としても書き手から信頼篤く、担当した壇蜜さんは、彼が辞めた後、雑誌インタビューで「気になること」を聞かれて、「最近、文春を辞めた担当者」と答えていたほどです。

 伊藤君はフリーになってから、グラビアや特集で何本か記事を書いてくれています。グラビア班の担当は4年目の社員。彼女が入社しグラビア班に配属された時、デスクとして指導したのが伊藤君でした。彼女は、伊藤君の記事を担当した時、「ひよこにとって最初に見たものが親鳥。伊藤さんの原稿についてダメ出しなんてできるわけない」と悩んでいました。もっとも、伊藤君の原稿はほぼ修正が必要ないクオリティ。気になるところを、「こんな感じで」とざっくり伝えても、完璧な直しが入ってくる。彼を担当していると、「俺は天才編集者なんじゃないか」と勘違いしてしまう人、多数。

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source : 週刊文春