不祥事を犯した議員をよくメディアで目にしますが、その方の服装やメイクを見るにつけ、大きな違和感を覚えます。お詫びの場面で何故そのネクタイ? だったり、胸の大きく開いた原色のワンピースだったり、華美なジュエリーを沢山つけていたり、メイクに品や知性を感じなかったり。そしてその方達の言動は結局、見ていて納得のいくものではない事が多く、かえって不信感がつのります。姿は俗性をあらわす、という事でしょうか。

 いくら普段は良い人、議員業に邁進していたと言われても、切り取られた部分で評価されてしまうのがメディアに露出する人達の定め。街で見かける選挙ポスターも同じで、1枚のあのポスターの中に、どうやって自分のイメージや思いを詰め込めるかだと思います。

 参院選が近づき、選挙戦が始まりましたが、私は現在、一つの国政選挙につき必ずお一人は議員の方のスタイリングを手がけていて、今のところいい結果が多く生まれています。仕事は基本的に何でも受ける私ですが、選挙スタイリングの場合のみ、オファーを頂いたら、その方のホームページやSNSを熟読。主義主張やこれまでの活動・そして佇まいを支持できる方のみ引き受けます。私達や子供達の生活がかかっていますからね。

 これまで男女共にスタイリングをしてきましたが、大事にしているのはお会いする前に私が感じた、静止画像での第一印象。ポスターやパンフレットをたくさん作る事になるので、その一瞬で「きつい感じ」「謙虚過ぎる感じ」「雰囲気が懐かしく、今の時代をキャッチできていない感じ」「言っている事とご本人の雰囲気に乖離がある」など、ネガティブな印象を与えるビジュアルになってしまっているとすれば、まずはそう見えない理想のものに変える必要があり、そこから着手します。動画を見たり、直接顔を合わせたりする機会があれば、表情やジェスチャー、何より言葉もあるので、そこで伝わるメッセージは沢山ありますが、まず真っ先に目に入ってくる情報はポスター。イメージをしっかり作る必要があります。

 そして勿論、競合もチェック。白しか着ない人がいる選挙区であれば、白に勝てるカラーで勝負します。また、二期目の選挙で初めてオファーを受け、現在五期目、というような議員の方のスタイリングの場合。同じ議員さんなら毎期似たようなスタイリングでいいのかというとそうではなく、その方が培ってきた経験や実績で表情も変わりますし、年齢も上がるので、勿論毎回違うスタイリングになります。

 必ずしもオシャレにすれば良いわけではなく、県民性などによっては、親近感の方が優先順位が上がる事もあり、さじ加減を考えるのも私たちの仕事です。

 また、遊説や街頭演説が伴う場合は、主義主張同様一貫性を持たせたいのと、いつどこにいても存在を確認しやすいように、ポスターと同じビジュアルを保ってもらう事をお願いしています。

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source : 週刊文春 2022年7月7日号