速水 まずはドルチェ&ガッバーナが中国でボイコットされた件。
おぐら ドルチェ&ガッバーナのインスタグラムの公式アカウントが、上海で開催される予定だったショーの告知として、アジア系の女性モデルが箸で不器用にピザを食べる動画を投稿し、人種差別的だと批判されました。
動画よりもドルガバデザイナーのDMが問題
速水 その動画がきっかけとはいえ、批判が起きたあとにドルガバのデザイナーが知人とやり取りしたインスタのDMが公開されて、そっちのほうが問題だった。端的に言うと「中国はクソ」みたいな内容。
おぐら 「無知で汚く臭う中国マフィア」って言ってましたね。
速水 デザイナー本人は「アカウントがハッキングされた」と主張してたけど、こういう場合に必ず出る言い訳で、切り抜けられるわけもない。
おぐら 結局、ショーに参加する予定だった中国人のモデルや、招待されていた中国人の俳優や芸能人たちが一斉に出席を拒否。上海でのショーは中止になりました。
速水 念のため、DMが流出したデザイナーはドルガバの「ガバ」のほう、ステファノ・ガッバーナね。ブランドの立ち上げ時には「ドル」のほう、ドメニコ・ドルチェとパートナー関係だったけど、のちに破局。ただブランドはその後も二人で続けていると。
おぐら ドルガバの差別的発言といえば、2015年にも同性愛者の養子縁組に反対する発言をして、当事者であるエルトン・ジョンが不買宣言をしてましたよね。「お前たちの古臭い考え方は時代遅れだ。お前たちのファッションみたいなものだ。金輪際、ドルチェ&ガッバーナの服なんてもう着ない」って。
中国の新興富裕層のゴージャス悪趣味に最適化したデザイン
速水 でも今回の件に関しては、もともとの差別的な考え方や、アジア系の人種に対する偏見っていうこと以上に、中国の新興富裕層のゴージャス悪趣味に最適化したデザインの服ばかりつくらされることにウンザリしていたってことなんじゃないかって思う。ドルガバもかつてはマドンナみたいな一流のアーティストやセレブが満足するようなデザインをしていたけど、いまどきのハイブランドはそうじゃなくなってる。
おぐら 日本のブランドであるコム・デ・ギャルソンも、PLAYシリーズを買いまくるアジア系の人たちのおかげで、コレクションが成立してるって聞きますし。
速水 グッチなんかは、わかりやすくドーンと真ん中に虎を描いて、中国のお金持ちの方々どうぞ、っていうふうに見えるよ。