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松本人志も「行かない」派  賛否両論の「人間ドック」には行くべきか?

2018/12/26

 先日、おもしろい番組がありました。医師でありながら、「ヘイヘイドクター」という「医療関係者あるある」のネタで人気上昇中のピン芸人、しゅんしゅんクリニックP(以下、しゅんP)さんが12月13日、トークバラエティ番組「ダウンタウンDX」(日本テレビ系)に出演。その際、松本人志さんに「松本さんが全然、人間ドックに行かないって噂聞いたんですけど」と質問しました。

松本人志を叱った医師芸人・しゅんしゅんクリニックP ©時事通信社

 これに対し、松本さんが「僕は行かないですね」というと、しゅんPさんは「マジでヤバいですよ」「早期発見、早期治療が原則ですからね」と指摘。松本さんが「検査行ってるのに、何も見つからなかったっていうのが多いでしょ」と反論すると、「それが大事なんじゃないですか。何を言ってるんですか」「お笑いの王様だとは思いますけど、言い訳はめちゃめちゃベタですよ」と松本さんを叱ったのです。

明石家さんまも「検診なんか受けたことない」?

 これを読んで、思い出しました。実は少し前に、明石家さんまさんが司会を務める「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ系)にレギュラー出演している生物学者の池田清彦さん(早稲田大学名誉教授)にインタビューしたのですが、池田さんも明石家さんまさんもがん検診や健康診断を受けていないのだそうです。池田さんは、こんなふうに話していました。

「病気しないんだ、あの人。タレントを40年間やってるけど、『2日続けて寝込んだことない』って言ってたよ。病気は1日で治しちゃうって。医者にも行かないし、さんまさんも武田邦彦さん(中部大学特任教授・『ホンマでっかTV』に環境評論家として出演)も俺も、検診なんか受けたことない。この前、人生相談で『うちのお父さん受けないんで行くように言ってください』って言われたけど、俺ら困っちゃって(笑)」(曽野綾子他『60歳からの新・幸福論』宝島社)

 さんまさんが向上長(司会者)を務める「さんまのお笑い向上委員会」(フジテレビ系)の「モニター横芸人」としてブレイクのきっかけをつかんだしゅんPさん。果たして、吉本の大先輩で、恩人であるさんまさんにも、人間ドックに行くよう叱ることができるでしょうか。

「余計なお世話」だと思います

 しかし、医師であるしゅんPさんには悪いのですが、がん検診や健康診断に行かないからといって、他人や身内を叱るのは「余計なお世話」だと思います。なぜなら、何度か紹介してきましたが、がん検診や健康診断を受けたからといって、長生きできるという確固たるエビデンス(科学的根拠)はないからです。

 現在、国は「死亡率を下げる効果がある」として、肺がん検診(胸部X線検査)、胃がん検診(胃バリウム検査)、大腸がん検診(便潜血検査)、乳がん検診(マンモグラフィ検査)、子宮頸がん検診(細胞診)の5つを推奨しています。

 しかし、私が書いた週刊文春の記事「この検査、必要なし」(2018年9月13日号)でも指摘しましたが、「胸部X線検査」や「胃バリウム検査」は有効性に疑問があり、これらをがん検診として行っているのは世界でも日本くらいなのです。

 がん専門医として著名な勝俣範之医師(日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授)ですら、胸部X線検査について「死亡率を下げる確かなエビデンスはなく、がんの見落としが多いなど精度管理もできていません。ムダなんだから、やめればいいんです」と記事でコメントしています。