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山根会長ほか「アマチュアおじさん」大活躍――輝く!2018年おじさん大賞(前編)

プチ鹿島、鈴木涼美、おぐらりゅうじ、大嶋奈都子

note

福田元財務次官と「セクハラ罪はない」発言から学ぶべきこと

鈴木 今、桜田さんは愛されキャラっていうか、ゆるキャラみたいになってますよね(笑)。実は桜田さんって、女性からはそんなに批判が集まっていないと思います。桜田さんがおじさんだからこその免罪符というか。今年、真逆の立ち位置にいたのが、福田(淳一)元財務次官じゃないですか?

 

おぐら 女性記者に「胸触っていい?」「手縛っていい?」と詰め寄る音声がメディアで報じられて、事務次官を辞任しましたね。

鹿島 福田次官のことは、どう見てました? あれもなかなか、今年の屈強なおじさんの一人だと思うんですけど。

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鈴木 屈強。超屈強(笑)。「いろいろ大変だったけど、これからがうんこだから。胸触っていい?」とか、あまりに品がなくて世間から好かれなかった。だけど福田次官は、一切何も得ていないんですよ。クリントンや山拓にしたって、性的スキャンダルを起こして、わりといいポジションにいたのに辞めた人たちは、実際にセックスできているじゃないですか。

おぐら 「ハッピーメール」を使った援助交際の報道で辞職した前新潟県知事の米山(隆一)さんとか。

鈴木 そう。でも福田次官は抱けてないし。ただただ失っただけで何も得ていないように見えますよ。今時、セクハラはメリットがなくて損するだけなんだなって。

鹿島 女性記者は自分の番記者だから、夜中に呼び出しても絶対に来ますよね。ただ来て、それで終わり。向こうは向こうで、特ダネを取りたいから来るんだし。その後の麻生(太郎)さんの一言もひどかった。かの「セクハラ罪という罪はない」発言です。普通の男性は、こういう事態が起こったら、一応「明日からは変わろう」とすると思うんですよ。その一点こそが、2018年の「おじさん分岐点」でしょうね。

鈴木 確かに。変われるおじさんと、変われないおじさん。

鹿島 だって俺、自分でも思いましたもん。「こういう風になっちゃ、もうだめだな」って。でも麻生さんは、絶対に変わろうとしなかったですよね。

 

鈴木 私なんかは、こういうスキャンダルを受けてコメントを求められると「セクハラやパワハラの範囲をどこまで広げるのが妥当なのか、それはちょっと疑問です」みたいなノスタルジックなことを言いたくなる人なんですよ。でも、その生き方を突き詰めてしまうと麻生さんになると思うと、怖いなと思います。

鹿島 「『新潮45』おじさん」こと小川榮太郎さんについても、僕がちょっと思ったのは、問題になった「政治は『生きづらさ』という主観を救えない」の中で、一つだけいいことを書いているんですよ。この世の中は「安全地帯からどれだけ『敵』を悪し様に語っても許される構図が確立している」(2018年10月号)って。実はそれって、自分のことを書いてしまっているんですよね。

おぐら 分かってはいるけど、自分のことだとは気づいていない。つまり「変われないおじさん」っていうのは、みんな「俺は違う」と思っている人たちなんですよね。