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連載池上彰「WEB 悪魔の辞典」

池上さんが解説 日本の新聞・テレビの記者特有の取材方法とは?

池上さんが解説 日本の新聞・テレビの記者特有の取材方法とは?

【夜回り】――池上彰「WEB 悪魔の辞典」

2019/04/02
note

 池上彰さんの連載「WEB 悪魔の辞典」では、政治や時事問題に関する用語を池上さん流の鋭い風刺を交えて解説します!

【夜回り・よまわり】

 取材先の自宅を夜間に襲撃。酒を酌み交わして情報を取っていこうとする日本ならではの奇習。

【池上さんの解説】

 日本の新聞記者やテレビの記者特有の取材方法に「夜回り」があります。昼間取材をすればいいものを、夜になって取材相手の自宅におしかけていって情報を収集するのです。

 アメリカでこんな取材手法をとったら銃で撃たれかねません。実に日本的な取材方法ですが、かつて日本の植民地だった韓国や台湾でも、こうした手法はあるようです。

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©iStock.com

 私もNHK社会部で警視庁担当だったときは、捜査一課の刑事の自宅に夜回りに行っていました。警視庁ですと、殺人事件の捜査本部がいくつもあるので、毎晩どこかの捜査本部に詰めている刑事の自宅を訪問したものです。

 これが政治部の夜回りとなりますと、自民党の重鎮は東京都内に自宅を構えていますので、そこへ行きます。中堅幹部や野党幹部だと議員宿舎に住んでいる人が多く、そこを訪ねます。

 相手が宿舎に帰っているかを確認するときには、外から電気のメーターが回っているかを確認したりと涙ぐましい努力をすることもあります。取材相手が女性議員だと、部屋の中からシャワーを浴びている音がしてきて、呼び鈴を押すのを躊躇した、という話も聞きます。

池上彰「WEB悪魔の辞典」のコーナーでは、池上さんの解説を聞いてみたい新用語を募集しています!

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