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各紙なぜだか揃って「NO」 大阪ダブル選をめぐる全国と地元の“論理”

ダブルクロスには「裏切り」という意味も

2019/03/29

 今年は亥年選挙の年。選挙が多い。

 その幕開けとなるのが来月7日に投開票される11の道府県の知事選である。全国的にも注目は大阪か。では新聞ではどう報じられているか。

ふだん論調が異なる大手6紙の社説が……

 まず基本情報は《大阪府の松井一郎知事と大阪市の吉村洋文市長がきのう、そろって辞職を表明した。4月の統一地方選に合わせて知事選と市長選を実施し、2人が入れ替わって出馬する。》(毎日新聞3月9日)

 大阪都構想実現のためにダブル選を仕掛けた維新。すると各紙社説は軒並み批判的だったのである(3月9日)。

「大阪維新の会」の松井一郎氏(右)と吉村洋文氏 ©時事通信社

読売
《「奇策」には違和感を禁じ得ない。(略)疑問なのは、松井氏が「公明党に裏切られた」と批判していることだ。粘り強く対話を重ね、一致点を見いだすのが政治の本来の姿である。合意に至らなかったからといって、他者に責任転嫁する姿勢は、いただけない。》

朝日
《住民の審判を仰ぐと言うが、同日となる見込みの大阪府議選と市議選にのぞむ党の仲間を後押しする狙いがある。住民不在の党利党略と言うしかない。》

毎日
《自己目的のために職務を放り投げるのは、首長と議会の調整によって成り立つ地方自治の趣旨をゆがめることになる。》

産経
《醜いけんかはこれ以上見たくない。(略)ののしり合いはあっても、都構想がなぜ必要かといった議論はほとんど聞こえてこなかった。これでは有権者の関心も高まりようがない。そんな状態で痴話げんかのような選挙に巻き込まれるのなら、いい迷惑である。》

日経(3月10日)
《現在、府も市も議会の会期中で、19年度予算案について審議している。府の予算規模は一般会計で約2兆6千億円、市は約1兆8千億円にのぼる。そのさなかに提出者である知事や市長が辞職するのは極めて異例だ。》

東京(3月12日)
《この奇策は地方自治の私物化ではないのか。》

 いかがだろう。新聞読み比べを楽しみにしている私にとっては「ほー」という事態となったのだ。ふだん論調が異なる大手6紙の社説が大阪ダブル選に関しては一様に批判的だった。これ、かなり珍しい。