昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

栗原 康
2017/01/29

働きたくない。その罪悪感から抜け出すには?

栗原さんに聞いてみた。

Q 働きたくない。でも働かないで過ごしていた時期の罪悪感あり。どう気持ちの整理をつければいい?

 とにかく働きたくないです。今の仕事を辞めて、刺繍してギター弾いて文章書いて暮らしたい。でも、働かないで過ごしていた時期の罪悪感が忘れられなくて、振り切れません。つくづく私は凡人なんだな、と思います。昔は旅をして詩を作って生きていた人もいるのに。この気持ちの整理をつけるにはどうしたらいいでしょう。あと、こういう状態の私におすすめの本はありますか? (36歳・女性)

A われはたらかず、ゆえにわれあり。

 さいきん、ジーンズのポッケから小銭を落っことした。すりきれて穴があいていたのだ。チリンチリン。1円だ。コロコロ、コロコロころがっていく。ああっ。体が勝手にひろいにうごく。ちなみに、いま死ぬほどカネにこまっているわけじゃない。でもチリンチリンという音をきくと、体が勝手にうごいてしまう。執念ぶかい貧乏性だ。

 トボトボ、トボトボおいかけていくと、背後からブーンと爆音がきこえてくる。ひゃああ、ダンプカーだ。1円をひろい、間一髪で車をかわす。あぶなかった。あと0.5秒でふっとばされていたところだ。さすがに、「あいつ1円ひろって、車にひかれたんだってさ」とか、そんなふうにいわれるのはちょっとイヤだ。ダメすぎる。

 でも、だいたい人生というのは、そんなもんだ。どんなに歯をくいしばってクソまじめに生きていても、あっさり犬死してしまう。無常だ。だったらとおもいやしないだろうか。どうせ犬死するのなら、死ぬ気で犬になってやれ。好きに生きろ、1円をひろえ。きっと体が勝手にうごきだす。

 おすすめの本は、『だめ連宣言!』(作品社)だ。ダメで上等。われはたらかず、ゆえにわれあり。わたしがはたらかないんじゃない、はたらかないからわたしがあるんだ。まずはそこからはじめよう。

「○○さんに聞いてみた。」のコーナーでは、みなさまからの質問を募集しています!

質問投稿フォーム