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真魚 八重子
2017/02/24

「バイプレイヤーズ」の6人を観るならこの映画

まがまがしい松重豊、世界と博多の光石研

genre : エンタメ, 映画

 毎週金曜深夜の0:12より、テレビ東京にてドラマ『バイプレイヤーズ〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら〜』が放送中です。出演者は、遠藤憲一、大杉漣、田口トモロヲ、寺島進、松重豊、光石研(平等を期するため五十音順)。深夜にも関わらず、放送中はTwitterのハッシュタグが毎週ベストテンに入る人気ぶりです。

 設定は、「中国の動画配信サイトから、『七人の侍』のリメイク版にキャスティングされた6人。しかしそれには“クランクインするまで、絆を深めるためシェアハウスで3ヶ月間共同生活を送る”という、不思議な条件がつけられる。だが主演のはずの役所広司は何も聞いてないと言い、彼らはキツネにつままれたような状態で共同生活を始める……」。

 ドラマの後、お酒を飲みながら6人が演技を離れて会話をするバイプレトークも楽しいです。

左から田口トモロヲ、光石研、大杉漣、寺島進、遠藤憲一、松重豊 ©文藝春秋

 筆者はつい映画と絡めて見てしまうので、この6人も日本映画における重要さから、ドラマも興味津々で見ております。せっかくなので、ここは初期に絞って6人の代表的な映画を紹介してみましょう。

「あれ?今の遠藤憲一じゃね?!」

 遠藤憲一さんは端役時代から悪役が多かったですが、『金融腐蝕列島〔呪縛〕』(99年)では、東京地検特捜部を率いる大野木という固い役どころで、これまでと逆転した設定がステキでした。またヘンな映画好きには、三池崇史組の俳優としても馴染み深いです。そして映画で一番かかわりが深いのは、洋画予告編のナレーションやタイトルを読み上げる声。知らず知らずに映画館で、エンケンさんの声だけはよく知っていた方もいるかもしれません。わたしは『マトリックス』(99年)なんて、予告本編よりもナレーションに「あれ?今の遠藤憲一じゃね?!」って反応してました。

©文藝春秋

エロいうえにとても笑える大杉漣作品

 大杉漣さんは『バイプレイヤーズ』の最後のコーナー、バイプレトークでも語っていましたが、よく出演していた高橋伴明監督のピンク映画には良作が多いです。なかなか現在では見る方法がないのですが、万が一VHSや動画配信があったら見るべし! ほかにもDVDで観られる作品ですと、いまや名匠というべき周防正行監督の『変態家族 兄貴の嫁さん』(84年)は、小津安二郎の世界を完全に踏襲したピンク映画で、あの蓮實重彦が大絶賛した作品。また、第81回アカデミー賞で、『おくりびと』(08年)が外国語映画賞を受賞した滝田洋二郎監督の、ピンク映画時代の『桃色身体検査』(85年)も、エロいうえにとても笑えるのでオススメです。

©文藝春秋

『鉄男』とマルチな田口トモロヲ

 田口トモロヲさんは、ばちかぶりのボーカルといまだに言ってしまうサブカル脳です、すみません。世間的にはドキュメンタリー番組『プロジェクトX』のナレーターですよね。映画では、最近は俳優として人気の高い塚本晋也監督の『鉄男』(89年)で、主役の“男”を演じ、いまだに自主製作映画の金字塔的作品として人気が高いです。トモロヲさんは自分で監督もするし、いわゆるマルチな才能の持ち主。

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コワモテでも刑事でもない寺島進

 寺島進さんは言わずと知れた北野武組。最近はすっかりテレビドラマの俳優として活躍中ですが、コワモテか刑事役の両極が多い中で、意外にも自主製作映画の世界では、篠崎誠監督による、心の病を抱えた妻を受けとめる夫役も演じています。その作品『おかえり』(96年)は、海外でも高く評価されて、各国の映画祭で様々な賞を受賞しています。

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